高 竜也 未亡人 麻衣子と少年
目 次
第一章 未亡人は二十八歳
第二章 隣室から聞こえる嗚咽に……
第三章 妄執に悩む一人寝の夜
第四章 少年の憧れは美しい未亡人
第五章 眼の前にひろがる濡れた秘裂
第六章 未亡人の中に散った白い飛沫
第七章 若い欲望に屈した“女”の身体
第八章 娼婦のように燃えた一夜
第九章 未亡人を襲った残忍な仕打ち
第十章 未亡人の寝室で覗き見た情交
(C)Tatsuya Koh
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第一章 未亡人は二十八歳
外気はパリパリと音をたてそうに凍りついているのに、麻衣子のベッドルームは裸でいても汗ばむほどの熱気がこもっている。
事実、ピンク・シェードの電気スタンドが放つ淡い光の輪の中に横たわっている麻衣子は、全身にうっすらと汗を滲ませ、けだるいここちよさのなかで、昌也の次の行為を期待して待ち受けていた。
もう三十分も前から、二十八歳の成熟した肉体は、四十二歳の男盛りの手によって充分に刺激され、挑発されておびただしい愛液を絶えまなく股間から湧出させて、その一部はライトブルーのピエール・カルダンのシーツを恥ずかしいほどに濡らしていた。
交通事故死した亡き夫、義明との三年間の結婚生活で得た性の快楽は、いってみれば、ほんの序の口で終わってしまったが、今、自分が体験している快楽の度合いは、あまりにも強烈で、三カ月前に初めて昌也と性交渉を持って以来、一挙にその頂点に昇りつめたのかと思えるほどなのだ。
三カ月前、義明の三回忌を無事すませた麻衣子が、それまでの“禁男”の生活から脱けでて、新しい自分自身の生き方を求めた時、迷うことなく隣家の商社マン倉持昌也を選んだのは、単なる偶然ではない。亡き夫の大学の先輩であること、同じ商社マンという縁で、よく義明が仕事上のアドバイスを受けていたこと、そして、昌也もまた交通事故で妻を亡くしていたことなど、二人にとって数々の共通点と接触しやすい条件が揃っていたのである。
義明の曾祖父は明治政府の要人、祖父は某財閥の大番頭をつとめた人だったので、現在の土地に西洋館と呼ばれるモダンな家を建てたのだが、たび重なる修復やら、父の時代の日本間の建て増しなどで、和洋折衷の調和のとれた邸宅が五百坪ほどの敷地にひろがっている。
麻衣子はその処分などで昌也に相談するうち、ごく自然に結ばれたのである。
それは一つの運命であったのかも知れない。同じような予感が昌也のなかにも、かなり前から芽生えていたのだから。
美しく若い未亡人を取り巻く男は多かった。
売りだし中のテレビタレント二条光彦、写真家の長田邦夫、医学生の大島圭司、著名なポルノ小説家の三谷正一、Jr・バンタム級ボクシング世界チャンピオンであるホークス梶原などが、適当な理由を作っては麻衣子宅を訪れ、彼女の歓心を買おうと躍起になったが、麻衣子の心をつかんだのは高校二年生の秀人という息子を持つ隣家の倉持昌也だった。
そして今、二人は充実した気分で、クライマックスに至る道のりを、ゆっくり、楽しみながら歩きはじめていた。
麻衣子は昌也に見つめられていることを意識すると、やはり、女らしい羞じらいで、薄い繊毛のあたりについ手をのばして、昌也の視線を遮る行為に出てしまう。
充血して盛りあがるように膨らんだ秘肉と、それを押しのけるように滲みでてくる秘液を凝視されているうちに、身体が打ち震えて、またたくまにひきつけを起こすようにイッてしまうのが、なんとも恥ずかしくてたまらないのだ。
「いけない人だ……さ、その手をどけて」
「だって……」
のどにからんで、乾いた声を出すのがやっとである。
男の手が、優しく麻衣子の手を八の字に開いてしまう。太腿をよじり合わせると、皮肉なことに、溜まりに溜まった陰唇の奥の秘液がトロリと外に押しだされ、蟻の戸渡りを伝って一番恥ずかしい菊の蕾の周辺を濡らし、意地悪くシーツにシミをひろげてゆく。
左右の腿の内側にかかった手が、ある意志をともなってゆっくり外側に開こうとする。
「ああ、いや……」
その声が、本当に嫌がっている声でないのを昌也は百も承知の上で、さらに手に力を加えてゆくと、円柱の張りと大理石の輝き、そして説明しがたい微妙な柔らかさを持った太腿は、半分は男の意志で、そしてあとの半分は麻衣子自身の意志で少しずつ開いてゆく。
そこはかとない翳りの下から、たとえようもない香りが立ち昇り、ベッドルームの隅々にまでひろがってゆく。
この秘園に熱い想いを募らせて、何人もの男たちが入れ替わり立ち替わり通ってくるのだが、それを征服した者は自分一人だという誇らしげな思いが、四十二歳の肉体に、実力以上の力を与え、見事なまでに奮い立った男根は、怖ろしいまでに血管を浮きあがらせていなないている。
昌也は、今日こそは……と思っている。
初めての情交以来、麻衣子は自分の意志で昌也のこわばりを握ったことがない。
ミッション系の学校で教育を受けた麻衣子には、どこか禁欲的な部分があるのだ。
昌也もまた、麻衣子にそれを強要したことがない。しかし、そうさせたいという気持はある。それがいつくるか……予感としては、今夜ではないか?
無理に握らせれば、すぐにでもそうすることはわかっている。それでは面白味がない。欲求度の一番強まった時、女は、自然とそれを手にするはずである。
麻衣子の女陰は、もう何度目かの強い収縮を繰りかえし、そのたびに、子宮の奥や肉襞の間からかすかな芳香を放つ愛液を流している。それは、いわゆるイッた状態なのだが、真の意味の終局とは異なった小規模の折りかえし点にすぎない。
やはり、最終的にイクには、猛々しく張りつめたこわばりの挿入を待たなければならない。
その前に……。
昌也は、なんとしてでも、麻衣子のデリケートな指の感触を、そのシンボルではっきり受けとめておきたいのだ。その喜びこそ、まさに、女を完全に我がものとした時の至福の極みではなかろうか。
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