官能小説販売サイト 由紀かほる 『義姉犯す』
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由紀かほる   犯す

目 次
第一話 犯す
第二話 闇を狩る
第三話 スキ ャンダル

(C)Kaoru Yuki

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 第一話 犯す

  恋 慕

 しんあやを邸内のプールへ誘ったのは、彼女の水着姿が見たかったからだ。
 薄暗い廊下で、綾子はしばらく躊躇ためらってみせたが、伸也がどうしてもとねばると、
「おさまを寝かせてからならいいわ」
 そのとき、彼女の眸に淡い喜色が浮かんだように、伸也は思う。
 九月は眼の前まで来ていたが、昼間の暑さにはまだ夏のしぶとさが残っていた。
 白いタオル地の短いガウンを羽織って、プールサイドの椅子に、綾子は長い脚を組んで坐っていた。普段は見ることのできぬ美しい義姉の脚を、伸也はウオッカを口に運びながら飽きることなく観賞した。
 ペディキュアをした指の並ぶちんまりとした足、締まった足首から優美なふくらはぎの曲線、特に眼を楽しませてくれるのは、人妻らしい太腿の熟れた肉付きだった。
 サングラスをかけていたのだが、彼の視線の熱さを感じてか、綾子は脚を解くと立ち上り、
「ね、泳ぎましょう」
 ガウンを脱いで、プール際まで小走りに行くと、振り返って誘うような眼差しを投げてから、ゆっくり水の中へ入っていった。
 顔を上げ、水面をでるように進んでいく綾子の姿を、伸也はパラソルの下から眺めていた。そうしながら、数年来、胸の奥底にうっせきしていたある感情が、入道雲のように脹れ上ってくるのを感じる。
 綾子が兄ののぶの妻として、若杉家へやってきたのは今からもう三年前になる。将来を嘱望された医師の妻として、家柄、容姿、性格、気品、どれをとっても綾子は申し分なかった。
 躰をこわして引退した父こうろうの気にも入り、浩太郎は静養のために建てたの別荘に信雄夫婦を招いて一緒に住まわせて余生を楽しんでいた。
 そのために浩太郎は長年仕えていた家政婦をクビにすることも躊躇ためらわなかった。
 頑固で人間嫌いで変人の、この老父には異常な性癖があった。
 それを恐らくは伸也だけが知っていた。
 彼がまだ幼少の頃、父が夜中、今はいない母を鞭でちょうちゃくするのを、鍵穴から偶然見てしまったのだ。もちろんそれがお互い同意の下での性の遊戯であると知ったのは、十年以上を経てからだったが。
 一方、伸也は父や兄とは違い、医大に行く代りに二流の大学に金で入ったものの、六年たっても卒業できずにブラブラしていた。
 もっとも伸也自身は、兄や父に比べたら自分の方がよっぽどまともな人間らしい人間だと思っていた。
 医者になることがどれほど意義のあることか知らないが、その勉強のために青白い不健康な躰しか持てないのでは何の意味もないではないか。
 たしかに、自分は勉強はできない。が、自分には医学がどれほど進歩しようとも、一たん失ったら二度と手に入れることのできない、まだ衰えというものを知らぬこの若い健全な肉体がある。
 だから、もし綾子に一番ふさわしい男を選ぶなら、それは自分以外には考えられないだろう。
 伸也が東京のマンションから急遽この伊豆の邸にやってきたのは、つい一週間前だった。
 兄の信雄が十日ほど海外へ出張することになり、
「あの辺りは物騒だし、綾子もさびしがるだろうから、済まんが帰ってくるまで伊豆の方にいてやってくれないか」
 兄に云われ、伸也は面倒臭そうな顔をして見せたが結局は承諾したのだ。
 彼は久しく会っていなかったの姿を思い浮かべ、何かが起るような期待感を持った。
 が、実際は一週間が過ぎても何も起りはしなかった。その間綾子に指一本触れなかったのは何故だろう。理由はいくつも思い浮かんだが、どれも言訳じみていて彼はすぐに考えるのを止めた。
 我に帰ってプールを眺めると、綾子の姿がない。一瞬、ドキリとなって身を乗り出したとき、
「何を考えているんですの」
 テーブルをはさんで、青い無地のセパレーツを着た綾子が、息をはずませ水をしたたらせながら立っている。
 クスッと笑うと、彼女は躰を拭き、
「伸也さんが泳ごうって云ったのよ」
 とがめるように、が眼は笑いながら云い、寝椅子に腰を下ろし横になった。そのとき、伸也の眼には、立て膝にした綾子の、しずくの滴る白い内腿と、その間に挟まれるようにしてこんもりとせり出す柔らかい頂きが飛び込んできた。
 その濡れた薄い布の下で息づく女を、伸也は想像した。気持ちが昂ぶるとにわかに水着の下のサポーターの中で、彼自身も形を変え始めた。
 視線をそらしても、意識すればするほど充血は進み、結局彼の眼は欲望に逆らえず、ほとんど釘づけになっていた。太くたくましい二本の太腿と付け根にきっちり喰い込む青い水着、しっとり濡れた布のふくらみと縦に寄るしわ、そこに躰を持て余す女盛りの人妻の、切ない内心の苦悶を感じ、伸也は今までにない激しさで綾子の躰を渇望した。
 思えば、ここへ来る途中、車で拾った女と寝て以来一週間、彼はまったく女なしでいたのだ。それなら眼の前の綾子も渇きを覚えているに違いない。あるいは熟れた果肉から滴る蜜を指でぬぐうように、自分で処理しているのだろうか。が、綾子と自慰は、何故かひどく不似合いに思えて、彼の中で結びつかない。
「今夜あたり台風が来るそうよ」
 黙って見つめる伸也のまなしを避けるように、ポツリと云い、急に振り向くとにっと笑った。
「ね、泳ぎましょ。台風が来たら来年まで泳げなくなるわ」
 水着を今にも破って飛び出しそうな綾子のヒップを見、伸也はかっと熱くなる衝動に揺りうごかされ綾子の後を追うようにプールに飛び込んだ。
 がむしゃらに彼は水をかいて、前を泳ぐ綾子に迫った。鼻先を脚がかすめるところで、大きく息を吸い込むと、やおら水中に潜った。
 眼の前で、綾子の白いしなやかな脚が大きく開かれたり閉じられたりしている。伸也はその片脚を掴むと、強く引っぱった。瞬間こちらへ躰を向けた綾子は、水中に頭までひたって激しくあがいた。
「嫌よ、伸也さん」
 あっ、やめてエと、一度水面に出て声を上げたが、後は水の中で何も聞こえない。声にははしゃいだような響きがあった。
 水中で、伸也の手は綾子の腰を抱き寄せていた。なおも綾子があばれると、彼は脚をからめてしっかりと躰の全面を密着させていった。水の中なので、スローモーションビデオを見るような感じだった。
 再び二人が水面に出たとき、伸也の唇は美しいあねの妙に熱く、柔らかな唇に重ねられていた。腕の中で、彼女の躰は濡れているくせに芯がって温かく、柔らかな弾力を持って若鮎のようにピチピチとねた。髪や首、肩、腕に加えられる抵抗が止み、すっかり諦めて身をゆだねてきたところで、伸也はさし入れた舌に躊躇ためらいながら応えてくる綾子の舌のうごきを感じて、唇を離してやった。
 にっと笑う彼の頬を、綾子はいきなり張った。何か云ってやりたいが声が出ないのだろう。胸を大きく波打たせたまま、吸われて濡れた唇を小さく震わせ、まだ信じられないという表情で見ている。


 
 
 
 
〜〜『義姉犯す』(由紀かほる)〜〜
 
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