一条きらら 今夜だけ
目 次
触られたい女
女教師の秘密
あなたに溺れた夜
教えられた性愛
美食の後はベッドで
不倫の終止符
濡れて悶えて
今夜だけ
(C)Kirara Ichijo
◎ご注意
本作品の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
個人利用の目的以外での複製等の違法行為、もしくは第三者へ譲渡をしますと著作権法、その他関連法によって処罰されます。
触られたい女
1
御茶ノ水駅から歩いて五分、会社のあるビルに、奈々江は着いた。
エントランスからエレベーターに向かって歩く。
奈々江の勤めている会社は、五階にある。
エレベーターの扉が開き、六人の男女と共に奈々江は乗り込んだ。
数本の手が交互に伸びて、降りる階のボタンを押す。
「お早う」
と、横に立った中年男性が、奈々江に声をかけた。
「お早うございます」
恥じらったような小声で、奈々江はていねいに会釈した。同じ会社に勤める、総務部の次長だった。
定員十人乗りの、やや古ぼけたエレベーターが上昇する。
奈々江は、無意識のうちに、次長の体に身をすり寄せた。
次長が、おやッという顔つきで、ゆっくり奈々江の顔を振り返る。
「あ、すみません」
慌てて奈々江は体を離し、顔を赤らめた。
「いや」
そう呟いた次長が、軽く咳払いをした。迷惑そうな表情では、なかった。身をすり寄せた時の奈々江は、胸のふくらみの側面を、次長の腕に軽く押しつけてしまったのだ。いい気分を味わったというような次長の顔つきである。
奈々江は、美人OLではないが、どこか男をそそる顔立ちでありムードがあった。面長で、切れ長の一重瞼、細っそりした鼻、小さな花弁のような唇。胸と尻はそう豊かではなく、脚も細めで、やや華奢な体つきだった。
〈恋人いない歴〉三年である。二十六歳だが、まだ二十歳過ぎぐらいに、純情で幼い感じに見える。口数が少なく、おとなしくて控えめで、何ごとにも臆病で、消極的な性格にも見られた。
男性にとっては、か弱くて、可憐なウサギみたいな彼女を、抱き締めて守ってあげたくなるといった庇護本能を刺激されるらしい。または、強引に抱き締めてもキスしても、強く拒絶しないだろうと思いたくなるようなタイプでもあった。
だから次長は、エレベーターの中で胸のふくらみを押しつけてきた奈々江に驚きながらも、顔を赤らめて恥じらう彼女を眼にして、思わず男の欲望を刺激された。もしかしたら自分に気があるのではないかと思いたくなった。
奈々江のほうは、全く無意識のうちに、男性の体に身をすり寄せるといったしぐさをしてしまった自分が、恥ずかしくなっていた。
(そろそろなんだわ……)
エレベーターを五階で降りながら、奈々江は胸の中で呟いた。そろそろ、というのは、生理予定日が近いという意味だった。生理前になると、性の欲望が異常なくらい高まって、
(もしかしたら、一種の病気なのかも……)
と、不安がかすめるようなことを、してしまうのだった。
セックスそのものを求めるというより、男性の体と接触したい衝動を、抑えきれなくなるのだ。
ただ接触しているだけでなく、乳房や秘部に、絶えず意識が集中してしまう。その状態が、ずっと続くと、呼吸困難になりそうなほど息苦しくなってくる。
今朝の電車の中でも、そうだった。中央線の荻窪駅から御茶ノ水駅まで、奈々江の服の下の肌は、火照りどおしだった。
今日の服装は、春らしい淡いレモン・イエローのスーツ。スカートはセミ・フレアで、膝上十センチの、ややミニである。
特に挑発的な服装ではなく、OLの平均的な通勤着だった。
ラッシュ・アワーの電車の中で、シートに座れず、吊り革にもつかまれない奈々江の体は、数人の男性と女性に囲まれていた。体の向きは、それぞれ違っている。
(あ……)
真っ先に奈々江が意識したのは、背後にいる男性が立っている感触だった。男性の股間部が、奈々江の尻に押しつけられている。
(男の人のズボンの中のあれが……!)
と、奈々江は、うっとり閉じた眼の中に、たくましいペニスが浮かんで、体の芯が熱くなった。それで、つい、腰をうごめかせるように、小さくモジつかせた。
(か、硬くなってる……!)
最初に触れたばかりの時より、尻に押しつけられたペニスが、硬く膨張しているのを感じて、頭の芯が熱くなった。
(いっそ、ズボンのファスナー開けてアレを出し、あたしのスカートの中のパンストとパンティ下ろして、直接、押しつけてくれたら……!)
そんな淫らな妄想に、奈々江は、ひそかに息をはずませた。
もちろん現実には、その男性が、そんなことはしなかった。
新宿に着くと、乗客が入れ替わった。乗り込んで来た数人の男女に押されて、奈々江の体の右半分が、中年男性の体の右半分と向き合う形になった。
奈々江は、火照ったままの下腹部を、衝動的に中年男性の太腿に押しつけた。
(ああ、もっと、押しつけたい、もっと……)
喘ぎそうになる息づかいを抑えて、奈々江は肉体の芯を疼かせていた。
男が、奈々江の妙な行為に気づいて、チラッと顔を見る。
奈々江は顔を赤らめながらも、腰を小さくうごめかせ、下腹部をさらに押しつけた。
(あッ……)
男の腕が、さり気なく動き、手の甲を奈々江のスカートの上から秘部に押しつけてきた。
|