館 淳一 セーラー服の泣かせ方
目 次
真白き臀に紅の薔薇
優しく犯して
淫ら色のセーラー服
愛しのエレクトラ
女スパイはむごく犯せ
乱倫のバラード
(C)Junichi Tate
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真白き臀に紅の薔薇
1
その夜もやはり、父の帰りは遅かった。
(あの女とデートしてるんだわ。食事して、それから……)
自分にはどうしようもないことだし、それが当然なのだ、と思っても、十六歳の彩子の心は嵐の海岸のように騒ぐ。
机に向かっていても勉強に没入できず、テレビを見ても虚しさがつのるばかりだ。
居間のソファの肘掛けにもたれてうとうととした時、玄関先にタクシーの停まる音がした。時計を見ると十一時を回っている。
父の俊二は、少しばかり酒くさい息を吐きながら、自分で鍵を開けて入ってきた。
「なんだ、彩子。まだ起きていたのか」
都心の有名なケーキ屋の箱を提げていた。男やもめだった俊二との結婚話がすすんでいる、日野奈々絵という女が持たせたにちがいない。心なしか、高級な香水の匂いが父親の服に滲みついているようだ。
「ほら、おみやげだよ」
ぷい、と高校一年生の娘は横を向いた。
「そんなもの、嫌いだわ」
娘の複雑な胸の内を知ってはいるが、ここ数日の心を閉ざした態度に、俊二は怒りを覚えた。
「いい加減にしろ! いつまで駄々をこねているんだ。おまえだってもう子供じゃないだろう。お父さんの気持ちがわかってくれてもいいじゃないか」
わかっているのだ。わかっているから苦しくつらいのだ。彩子の目に大粒の涙が浮かんで、ぼろぼろと頬を伝う。
「いいわよ、好きにすればいいでしょう! 私のことなんかどうでもいいから、好きな女と結婚すれば」
言い捨てると、ぱっと立ち上がり、ケーキの箱を払いのける。
「彩子!」
父の驚いた声を背に、二階に駆けあがった彩子は自分の部屋に飛び込むとドアをばたんと閉め、ベッドに身をなげて思いきり泣いた――。
北米やカナダから毛皮を輸入する貿易会社を経営している三津田俊二と、今年高校に入った一人娘の彩子の関係が難しいものになったのは、俊二が後妻を迎えようとしたからだ。
彩子の母は一昨年、突然の心臓発作で急死してしまった。それ以後、成城の広い邸宅で俊二は娘と二人きりで暮してきたのだ。
中学生の彩子は、母親のかわりを健気につとめた。最初のうちは家政婦を雇っていたが、彩子のほうがてきぱきと何でもこなしてしまうものだから、俊二はやがて主婦の役割をすべて彩子にまかせるようになった。
学校は名門お嬢さん学校の白萩女学館だから、高校受験の心配はなく、もともと彩子は料理や家事が嫌いではなかったから、学校と両立させるのはそんなに大変なことではなかった。
かえって、かつて母がしたように父親の世話をすることが楽しく、誇らしいとさえ思うようになったくらいだ。
俊二も、たとえばワイシャツのボタンが一つ取れていても、何も言わなくても次に着る時にはちゃんと付けてあるのに感心するほどで、日常生活ではおよそ不便を感じることはなかった。
しかし、どんなに彩子が心をこめて父の世話をしても、性生活だけは別だ。しかも、俊二は四十二歳。働きざかりの年齢である。彼が再婚を考えるようになったのは当然だろう。
相手は日野奈々絵。会社で俊二の秘書を務めている三十歳の女性だ。一度離婚経験があるというが、熟れた女の魅力と、たまたま彼の特殊な嗜好を理解してくれたことで、たちまち俊二は惹かれてしまったのだ。
「彩子、あたらしいお母さんに来てもらおうと思うんだが……」
再婚の話を父から切り出された時、彩子は激しいショックを受けた。
(お父さんを他の女に取られてしまう!)
「いや!」
彩子は叫んでいた。
「お母さんはどうなるの。もう、お母さんのことは忘れてしまったの!?」
実際のところ、彩子が反対したのは、女として愛する人を他人に渡したくないという嫉妬にほかならない。
(今のままで彩子は充分幸せなのに。お父さん、どうして再婚なんかするの?)
泣きながら反対する娘の気持ちは理解できるものの、だからといって奈々絵との結婚をあきらめる俊二ではなかった。
「そのうち、あの子もわかってくれるさ」
そう言って俊二は奈々絵との交際を続けているのだが――。
「彩子……」
しばらくして、娘の動揺が収まった頃を見はからって俊二は娘の部屋をノックした。
応答はなかったが、鍵はかかっていないので、ドアを開けて入る。
思春期の一人娘は、ベッドに俯せになってしくしくとしゃくり上げていた。
その姿が何ともいとおしく、父親は傍らに腰を下ろすと、そっと肩に手をかけ、強い力で抱きよせた。すると、抵抗せずに娘は父の胸に縋りつく形になった。
「どうした、彩子、落ち着いたか」
いつもどおり優しい声だ。手がそっと長い黒髪を撫でる。びくっと彩子の肩が顫えた。父に髪を撫でられると、いつも微細な電流が背筋を走るような、ぞくぞくっとする快感をおぼえるのだ。
父に優しい声をかけられ、抱きしめられると、彩子の頑なな心も溶けてくる。
「ごめんなさい。あんなことして……」
まだ鼻をくすんと言わせながら娘は父に謝った。
「いいさ、おまえが賛成できない気持ちはよくわかる」
成長ざかりの甘酸っぱい匂いを発散させている娘の柔らかい体を抱いていると、俊二はふと男の欲望が兆すのを知って狼狽した。
(さっき奈々絵の体で欲を遂げたのに、おれは娘を抱いて欲情している……)
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