官能小説販売サイト 蘭光生 『生贄処女』
おとなの本屋・さん


蘭 光生    生贄ばーじん

目 次
俺たちのペット
 第一章 令嬢の白い太腿に破瓜の血が一条……
 第二章 哀れな牝囚は檻のなかに監禁され……
レイプ・ライダー
乱歩を読みすぎた男
 第一章 かどわかし おかす もの
 第二章 いけどり なぶりの うたげ
 第三章 うつくしき けだものを おかして

(C)K. Ran

◎ご注意
本作品の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
個人利用の目的以外での複製等の違法行為、もしくは第三者へ譲渡をしますと著作権法、その他関連法によって処罰されます。

 俺たちのペット


 第一章 令嬢の白い太腿に破瓜の血が一条……

     1

 家に帰ってみると、弟の治がまだ帰っていなかった。もう夜の九時を過ぎている。
 池袋から私鉄で三十分。駅から歩いて十五分というヘンピな所にある一戸建ての建売り住宅に、おれは田舎から出てきた弟と一緒に住んでいた。
 おれは三十歳になるしがないサラリーマン。三年前に水商売の女と結婚した。そのときの彼女の条件が、一戸建ての家を買ったら結婚してあげる、ということだった。
 将来のマイホームを夢に見て、少しずつ貯金していたのが役に立ったが、そんな貯金の額はたかがしれている。ローンやら借金やらでやっと手に入れた一戸建ての3LDKだが、結局場所が悪かった。
 結婚して半年ほどはおとなしく主婦稼業に従事していたものの、退屈さに負けて、またぞろ夜の仕事に出るようになった。そこで致命的だったのが、駅から徒歩十五分という距離だ。十分までならなんとかがまんできたのだろうが、疲れたり飲んだりしたあとの、それも深夜の足にとって、五分の差は大きい。
「こんな不便な家なら、都心のアパートのほうがましよ」
 男もできたらしく、結婚一年目にして、あっさりとおれの所から消えてしまった。それが二年前のこと。
 がらんとした3LDKの家には、女房と入れかわりに、二十歳すぎの田舎の弟が転がりこんできた。人はいいのだが、ちょっとトロいところがあり、学生時代にクラスじゅうから馬鹿にされていたらしい。田舎じゃろくな仕事がないので、高卒と同時に上京し、東京で水道工事店に勤めていた。バカでも単純な仕事を年季をかけて覚えたおかげで、いまじゃ並のサラリーマン以上の収入がある。
 今年で二十二歳になったはずで、最近では小型トラックを買い、うちの庭に駐車場を作って、工事の道具一式を荷台にのせたまま家から通勤している。
 駅まで十五分もテクテク歩き、私鉄で三十分も揺られ、地下鉄に乗りかえて……と、そんな通勤地獄を味わっているおれにくらべると、まるで天国のような通勤ぶりだ。
 暗い部屋に入り、電気とテレビをつけ、冷蔵庫からビールをだして飲みはじめたとき、やっと庭先に車の音がして、玄関の戸が開いた。
 が、入ってくる気配がない。
 どうしたのかな、と思って玄関に出た。すると庭の暗闇のなかから両腕に大荷物を抱えて弟が現われて玄関に入ってきた。
 おれはその“大荷物”を見て、唸り声をあげた。
「どうしたんだ、治! それは!?」
あんちゃん、玄関の戸を閉めて、鍵かけてくれ」
「ああ……」
 おれが唸ったのは、そのカンバスに包んだ大きな細長い“荷物”から、ハイヒールをはいた、きれいな女の足が二本、とびでていたからだ。
 玄関の戸を閉め施錠し、応接間兼居間の洋間にもどってくると、弟は床の絨毯の上に“荷物”を置き、汚れたカンバスの布を開いていた。
「どうしたんだ、いったい、これは!?」
「うふふふ。凄いだろう、兄ちゃん。誘拐してきちゃった……」
「誘拐って、まさか、おまえ……」
 さすがに、おれは絶句した。
 まさか、もなにも、現実にすごい女の姿を目の前にしては、たしかにこれはもう、誘拐以外のなにものでもない。
 女は気絶していた。
 水道工事にでも使うのだろう、汚れた麻縄で手首を背中で縛り合わされている。口にはスカーフのさるぐつわがかませてあった。柄から察して、エルメスのスカーフにちがいない。
 人形のように長いまつの瞼を閉じたまま、女は横向きに寝ている。シルクの長袖のブラウスにピンク系のスカート。その裾からハイヒールをはいたままのさっき見た形のいい足がこぼれている。
「気絶しているのか?」
「そう。さっき車からおろすときに、ヒーヒー声出したから、一発かましたんだ」
 そういうと、治はごわごわした作業着のポケットから黒い四角いものをとりだした。
「治、スタンガンじゃないかッ」
「うん。通信販売でとりよせたんだ。ね、いいだろう?」
 治は子供がオモチャを見せびらかすようにスタンガンのスイッチを入れた。
 バチバチバチ……と青白い細いよじれた絹糸のような稲妻が両極のあいだを音をたててうねっている。
「さっき、ほら、高級住宅のある栄町のほうに行く道を車で走っていたら、この人がぽつんとひとりで歩いてたんだ。ライトでふり向いたときの顔があんまりきれいなんで、待ち伏せしてさ。それに、このスタンガン、一度本物の女でためしたくて。あそこ、街灯がなくて暗いだろう? 路地からとびでて、こいつを数秒あてがっただけで、ぐにゃりとなっちゃった」
 それでも、数分間で意識がもどると解説書にあったので、トラックの所まで運ぶと、ハンカチをおしこみ、彼女のしていたスカーフで猿轡をし、両手を後ろ手に縛ってから、工事道具にかぶせてあるカンバスシートの下に隠して家に運んできたのだという。
「誘拐はいいけど、いったい、どうするつもりなんだ?」
 すると、弟は人のいいトロそうな笑顔を浮かべて、ケロリと言った。
「おれたちのさ、ペットにしようよ。おれも女欲しいし、兄ちゃんも、奥さんに逃げられて寂しい思いをしてるしさ。ね、いいアイデアだろう?」
「ああ。治としちゃあ、とびっきりのいいアイデアだ」
 それを聞いて、治は心の底から嬉しそうに笑った。
 おれはそのとき、覚悟をきめていた。


 
 
 
 
〜〜『生贄処女』(蘭光生)〜〜
 
*このつづきは、ブラウザの「戻る」をクリックして前ページに戻り、ご購入されてお楽しみください。
 
「蘭光生」 作品一覧へ

(C)おとなの本屋・さん