官能小説販売サイト 高竜也 『母・凌辱の寝室』
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高 竜也    母・凌辱の寝室

目 次
第一章 濡れる母
第二章 貪婪な女肉
第三章 不倫と背徳の狭間
第四章 蠢動する裸身
第五章 初めての淫悦
第六章 玩弄される令夫人
第七章 被虐の中の恍惚
第八章 奪われた処女
第九章 弾け散る若精
第十章 凌辱の寝室
第十一章 好色な姦計
第十二章 美しき犠牲者

(C)Tatsuya Koh

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 第一章 濡れる母

 風が鳴って樹木の間を走り抜けた。時計の針は十一時をまわっていた。
 淳一は五条家のお手伝いとして働いている母、芳乃の期待にそむくまいと、夕食をすませたあとも勉強机に向かっていたが、それは形ばかりであって、気持ちは別のことで揺れ動いていた。
 ちょうど一週間前、やはり眠い眼をこすりながら一時すぎまで分厚い英文法の本を読んでいた淳一は、枝折戸のガタンと鳴る音を聞いて窓の外を見た時、庭つづきの五条家の邸のほうへ向かう男の姿を見たように思ったのだ。樹々の闇の中に消えたのは幻のようにはかない影ではあったが、五条家の当主たくのようにも思えた。
 しかし、なぜ琢真があんな時刻に我が家から?
 淳一は、やはり自分は睡魔に襲われて夢を見たのだと思い直したのだが、翌日、ゴミ入れのポリバケツの中に、琢真しか吸わない独特の太い葉巻があるのを偶然見つけて、ある種の疑惑が青空に湧きたつ雷雲のように、心の中にわだかまりとなってひろがっていった。
 それから一週間、淳一は夕食後に勉強をしているようにみせかけて、実はあの幻の正体を探ろうとしていたのだが、昨日までは何事もなくすぎていった。
 淳一の五感に、なにか訴えるものがあった。それが今夜なのだ。先週もたしか金曜日の夜だった。
 淳一は室内の灯りを消すと、窓のカーテンを閉め、わずかな隙間を作った。
 なんだか自分が悪いことをしているようなうしろめたさを抱いた。それに、あの時、垣間見たものは幻であって欲しいという気持ちが、どこかにあった。
 五条建設といえば、業界では一、二を争う大手建設会社である。そこの当主である五条琢真が真夜中に、お手伝い母子の住む庭つづきの平屋から出ていくということは、何を意味しているか……。いくら高校二年生とはいえ、何らかの疑惑を持つのが当然といえる。
 賢い淳一は、二年前の高校入学の時にも、何か人に知られたくないようなおぞましい気持ちに陥ったことがある。それは、五条家のしがないお手伝いである母が、金のかかることで有名な私立高校に入学することを強くすすめ、母子家庭にふさわしくない多額の入学金と寄付金をはらってくれた時である。
 その高校は、東大の進学率も抜群によく、母の芳乃は、淳一が大学を出て一人前の社会人になるまでは身を粉にして働くからと、涙を流して喜んでくれたものだ。
 しかし、淳一には釈然としないものがあった。その気持ちが、二年生になった今でも尾を引いていたことは否めない。そのさなかに起きた幻の人影事件である。
 そんなことあるもんか!……淳一は頭を強く振って、母への疑惑を打ち消した。
 淳一にとって、母は絶対の存在だった。その優しさはかけがえがなく、美しさは誇らしく、優雅な身のこなしの中に秘めたシンの強さは、心の支えであった。
 幼い頃から淳一は、芳乃にまつわりついて育った。しかし、ものごころがつくに及んで、五条家における母の立場を理解すると、朝、地つづきの五条家に出かけていく母を見送り、夜になって戻ってくる母を迎えるのを、日課とするようになっていた。
 もう一つ、淳一は五条家で気になるものがあった。それは琢真の妻、美也子の剣しい眼である。子供心にとげのある視線が母や自分に注がれているのを見ると、五条家の邸内に入ることがはばかられる。いつしか足が遠のいてしまっていた。
 琢真は一人娘のれいを眼の中に入れても痛くないほどの可愛がりようであったが、同時に淳一に対してもごく普通の小父さんで、時には紙に包んだ高級な菓子をくれたりしたものだったが、美也子ときたら、まったく穢らわしいものでも見るように刺のある視線を差し向けた。
 ただ、一つ年上の玲香が、何かというと遊び相手に淳一を指名したので、あまりあてつけがましく小言を言うようなことはなかっただけである。
 近頃の玲香は美しく成長して、時折り庭先で見かけても、淳一は決して自分から声をかけたりはしなかった。相手は当主の一人娘であり、自分はしがない使用人の息子である。それに、美也子には二人が接触する機会を持つのを嫌っている節があった。
 淳一は、自分が蔑んで見られることに耐えられなかった。
 いつしか玲香は遠い存在になっていた。時折り、邸のほうからピアノに合わせて玲香の美しいソプラノが聞こえてくると、それでも幼い日のことを思いだして、すぎし日のことを懐かしんだりした。

 ギイッと枝折戸の開く音がした。
 息をひそめて立ちあがった淳一は、カーテンの細く開いた隙間から、庭のほうをうかがった。
 五条家の邸宅と、芳乃、淳一母子の住む物置まがいの平屋を区切る厚い樹木の間から、ガウン姿の影が足音を忍ばせるようにして庭を突っきり、縁先の軒下にたたずんだ。すると、それまで暗かった縁先に灯りがもれ、内側から硝子戸が音もなく開いた。琢真は声を発することもなく中に吸いこまれ、再び硝子戸が閉ざされた。
 淳一は、まるで映画の一シーンを見ているような思いで、一連の動きを眺めていた。訪れたのは琢真に間違いがなかった。導き入れたのも母に相違ない。二人には暗黙の了解があるようだった。長年の習慣からくる、馴れ馴れしさがあった。
 淳一は、不意に芳乃が自分から離れて、遠くの存在になったようないまいましさを感じた。
 自分の部屋と芳乃の部屋の間には、六畳の居間があるだけである。三つの部屋をつないでいるのはL字型の短い廊下で、あと居間と芳乃の部屋は襖つづきである。
 鍵型の廊下を曲がったところに立って、淳一は母の部屋から薄灯りがもれたのを確かめた。
 胸の動悸がにわかに激しく鳴りだし、血が頭にのぼって、今にも眼や鼻から噴きでてくるような感じだった。
 一歩足を踏みだすと、意地悪く廊下がミシリと音をたてた。わずかな距離だが、そこまで忍んでいく勇気はなかった。それに、もし母の部屋から誰かが顔を出したら、姿を隠す場所はどこにもない。
 淳一は部屋に引きかえすと、運動用具の詰めこんであるバッグからスニーカーを取りだし、窓から外に出るとそれを履いた。
 五条家の邸が、闇の向こうに浮きでていた。
 淳一は家の裏手にまわって芳乃の部屋の窓の下にへばりついた。そっと頭を持ちあげると、窓にはカーテンがかかっていた。しかし、左右から中央に向かって引かれたカーテンは、中央部分で充分に重なり合わなくて、五センチほどの隙間が開いていた。
 あんどん型の電気スタンドが、まず淳一の眼の中に飛びこんできた。淡い光の中に投げだされた母の白い腕があった。その腕の付け根の部分……腋の下に顔を埋めているのは、琢真だった。
 淳一は、今なら引きかえせると思った。見ないですめば、それに越したことはない。しかし、何にでも興味を示す高校二年生にとって、それは無理な注文であった。
 見てはいけない……という気持ちの何倍もの強い欲求が、淳一の足を、眼を、その場に釘づけにした。


 
 
 
 
〜〜『母・凌辱の寝室』(高竜也)〜〜
 
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