由紀かほる 魅せられし姦奏
目 次
PART1 魅せられし姦奏
PART2 官能デュエット
PART3 恋する性奴隷
PART4 蝕まれいく肉花
PART5 麗わしき倒錯者
PART6 華やかな相姦図
(C)Kaoru Yuki
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PART1 魅せられし姦奏
丘の上の館
なだらかな裾野はそこから急勾配を描き、二つのよく円味を帯びた高い丘へとつづいて、それぞれにツンと尖った頂点を境いに再びゆるやかな平地が訪れ、やがて谷間の牧草地帯――金色に輝く若葉の生い茂る優しい頂きにさしかかる。
ムンムンする草熟れをかき分けて進めば透明な水を湛えた細長い湖が現われ、そのクレバスみたいにパックリ口を開けた縦長の湖は、深淵な湖底から清澄な水を湧きたたせ、浅瀬の凸地をうず巻く湖水によって盛り上げ、ときに覆い隠すのだが、湖と平地によって隔てられた小さい沼もまた、左右の豊かな丘陵に挟まれて、普段は姿を見せなかった。
初夏の新鮮で容赦のない午後の陽光を、額にかざした手で遮りながら、オリビアは夫の肩越しに静かな配色の風景画を眺め、そこにジェラルドの温厚で理知的な性格がよく具現されていると認めたものの、結婚して二年、画家の妻でありながら、まだ充分に画を理解していなかった。
「まだお続けになるの?」
「うん、これも明日の個展に出すつもりなんでね。君は先に帰っていたまえ」
絵筆を持ったまま振り返り、ジェラルドは汗ひとつかかぬ端正な面をオリビアに近づけ、軽く接吻した。
「あまり気をおつめにならないで」
「ありがとう、心配はいらないよ。僕もできるだけ早く帰るから」
妻の姿が木立ちに消えるのを見届けてから、ジェラルド・ディヴィドソンは再びキャンバスに向った。
陽光を遮る木立ちの中を雌鹿のような足どりで通り抜けたオリビアに、頭上から透明な太陽の光線、足もとからはたちのぼる草熟れがむっと襲いかかり、オリビアは軽く眩暈を覚えながら、ゆっくりと夏の息吹の中、ゆるやかな坂を下っていった。
ノッティンガムからあまり遠くない、前方に芝生を見下ろし、背後には樹木を繁らせた、柔かい緑の丘に、新進画家ディヴィドソンの邸が建っており、辺りには貴族であるトムソン家の別荘を除いて、人家は見当らなかった。
庭のすみでは、下男のジェフがグレイのキャディラックにワックスをかけていたが、オリビアに気づいてもチラッと一瞥を投げただけの無愛想な態度で、ろくに挨拶もせずに仕事を続けていた。
いつもそうなのだが、この額のてっぺんが丸く禿げ落ちて、皮膚に赤い斑点を散らしたアイルランド人に相対すると、オリビアは鳥肌の立つような嫌悪感と、ある息苦しさを覚えた。容貌もさることながら、男のまなざしが無遠慮に注がれるとき、自分自身気づかずにいる心の奥底まで見透されているような錯覚に陥るのだった。
もちろん、それが何であるか理解する術もなく、これは自分の思い過しにすぎないのではないかと、オリビアはこの時もこれまでと同様、表情や態度には出さずに、邸の中へ入っていった。
邸の中は涼しかったが、汗で肌に張りつく下着は、どうにも気持ちが悪く、オリビアはすぐにバス・ルームに駈け込み、ドレスを脱いでそれを脇のカゴにほおりこんだ。
正面には等身大の鏡があって、肌色のブラジャーとパンティ、それにガーター・ストッキングに彩られた半裸の肢体を写しながら、まずブラジャーのフロントホックを外した。
今まで、窮屈なところに押し込まれていた二つの乳ぶさが、プルンと勢いよく飛び出し、ドレスの上からは想像もできない豊満さで、汗の光る胸もとにユラユラと揺れている。
シルクのようななめらかで艶やかな長いブロンドの髪が、ふんわりと両の乳ぶさにかかっていて、オリビアはそれを両手で後ろに梳き、淡紅色の乳首が顔を出した胸をぐっと張ってみた。
大きさといい形といい、また色艶といい、見事に成熟したバストに、自分でもうっとり見惚れ、両手で乳ぶさの下端を持ち上げるようにしながら、ゆっくりとこねるように揉んでみた。
「ジェラルド……」
夫の優しい愛撫を思いおこし、鏡に向って呟くと、彼女の繊細ですべすべした素肌はすぐにほんのりと色付き、人さし指の下にある乳首は、ピーンと固くシコって、乳ぶさ全体がグッと張りつめ、せり出してくる。
「今夜は、もっと激しく愛して頂戴」
オリビアは、男を挑発する淫売がやるように、舌でルージェをひいた小花みたいな唇を舐めてだえきで濡らし、流し眼に見ながらニッコリ笑った。
ナルシスの鏡
そこには淫らな感じはなく、気品があって何ともいえず清らかで美しい。
からだの側面を向けると、薄い胸板に比べてひときわ乳ぶさの大きさが目立ち、おまけに乳首は糸か何かで上につり上げられているように思えるほど、ツンと上向きに反り返っていて、それが自分でも満足で、うれしくなったオリビアは、さらに背中を向けて、くびれたウエストからぐっとせり出したヒップ――薄いナイロンのパンティが汗でピッタリ張りついたヒップを、両手を膝にのせて突き出すと、右に左にプリンプリンと振ってみた。
「うふふふ……ストリッパーみたいよ、オリビア」
鏡の中の自分に向って、そういう。
「あら、ストリッパーっていうのは、こうやるんでしょう」
なにかのメロディーを口ずさみながら、もう一度乳ぶさをこねるように揉んで、その場でクルッと一回転すると、両手でブロンドの髪をかき上げ、腰をクネクネと回転させ、前後に揺すった。
だが、そこでオリビアがハッと我に返り、ピタッと動きを中断したのは、今、この邸にはジェフとたった二人きりだという意識が、一瞬彼女の脳裡をよぎったためだった。ひょっとしてこの誰にも見せられない恥ずかしい恰好を覗かれたりはしなかったろうかと、気が気ではなく、しかし、そう想うとわけのわからないスリリングな感覚が体内を走り、手足がうち震えるほどのショックに襲われて、しばらく身動きすらできなかった。
動悸を必死に押さえながら、オリビアはガーター・ストッキングを長く細い脚から抜きとり、つづいてパンティのゴムに指をかけたのだが、そこでまた新たな事実の発見がオリビアを驚愕させた。
股の付け根の前の部分が、妙に熱くじっとり湿っていて、鏡を見れば優しい盛り上がりを覆うパンティの二重底の部分が、肌色を色濃くして、パンティはシースルーではないのに、頂きに続くクレバスをはっきり浮きぼりにしているのである。
(きっと汗のせいだわ)
と最初は思って、パンティを下ろしたのだが、見ればパンティの内側の二重底の部分には、はっきりそれとわかる、ネバッこい蜜が染み込んでいて、股間を覗き込むと、ブロンドの和毛の茂った頂きの下では、何かを求めるかのようにクレバスが蜜をしたたらせ、ジーンと疼いているのだった。
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