高 竜也 離婚妻
目 次
第一章 悦楽夜
第二章 蜜月夜
第三章 冒涜夜
第四章 催淫夜
第五章 凌辱夜
第六章 逃避夜
第七章 濡花夜
第八章 媚薬夜
第九章 輪姦夜
第十章 被虐夜
(C)Tatsuya Kou
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第一章 悦楽夜
「いやっ! なんてことを……いやよ、やめて! お願い……いや、いやです!!」
裕美子の涙ながらの哀願を耳にすると、正三のこわばりはさらに硬度を増して歓喜に打ち震え、殻をむいた茹玉子のようにテラテラと光っていた亀頭は、今にもはちきれんばかりに膨張した。
ベッドに大の字にくくりつけられている裕美子は、初めのうちこそ、何度か暴れもがいてみたが、そうすればするほど、手首や足首に紐がくいこんでくるので、もう身動きすることもならず、ただひたすら哀願することで、夫の無謀な試みをやめさせようとしていた。
だが、それがかえって逆効果になることを、この若い人妻は気づかない。
さあ、どうにでもして頂戴、と開き直られたりすると興味を失うのだが、今の裕美子のように、まったくの弱者となって下手に出たりすると、サディスティックな感情が盛りあがり、正三はますます意地悪く、いやがることをやろうとするのだ。
正三が手にしている物は、ビニール製の筒状のものにコンドームをかぶせた擬似男根である。しかも、筒の中には数十匹の小さな生きたドジョウが蠢いている。
裕美子は必死になって両方の太腿をすり合わせ、膣口を固く閉じようとした。しょせん、それが無駄な努力とわかっていても、そうせずにはいられなかった。やすやすとそれを女の部分に受け入れてしまったら、それこそ夫と同類と見なされてしまう。
私は違う! 私は正常な人間なんだ。三カ月前まで処女だった若妻に、性を享楽の手段とすることなど、思いもよらないことだった。
コンドームの亀頭部分は、ドジョウの重みで異様に大きく膨らんでいる。正三が器用に逆さまにすると、ドジョウはすべて筒のほうに戻ってしまい、くねくねと重なり合ってもがいている。
裕美子のあの中でもこんなふうに動いたら面白いだろうな……。
正三は眼を細めてそれを眺めた。
しかし、いくら正三でも、直接ドジョウを女の大事な部分に送りこむような暴挙はできない。彼は日常生活においては、どちらかといえば真面目人間に属する。セックス時に屈折した行動をとるのは、その反動なのかもしれない。
ゆっくり裕美子の八の字に開いた両膝の間に座ると、またしても裕美子は、無理を承知で両方の腿を重ね合わせようとした。秘口がよじれたように歪み、奥からしぼりだされるように、トロッと愛液が滲みでる。こうした光景でも、正三にとってはたまらなく刺激的なのだ。
こわばりの先端から、透明な露が糸を引いてシーツを濡らした。すっかり長大になった肉棒は、規則正しく細かい震動を繰りかえし、心臓は、それをはるかにうわまわる速度で鳴動している。興奮と期待で眼球の奥がなにやらひどく熱くなり、頭の中が舞いあがったように攪拌している。正三はこの一瞬がたまらなく好きなのだ。
小学生の頃、運動神経の鈍い彼は、百メートル競走といえば、必ずといっていいほどビリであった。だが、それがわかっていても、号砲が鳴る寸前の悲壮感が好きだった。あれは、まさに陶酔以外の何ものでもない。
今の気持が、とてもあの時とよく似ていると思う。自分の愛する美しいものを生贄にするこの複雑な気持を、何にたとえたらいいのだろう。少しつきでた腰骨、ふっくらと脂肪のついた下腹、こんもり盛りあがったヴィーナスの丘とそこを彩る柔草たち、どれもこれも甲乙つけ難い素晴らしい眺めだ。しかも、正三は、それらすべてを愛している。
「裕美子、きっとお前も気に入ってくれるよ」
優しさをこめた夫の声も、今の裕美子には自分を絶望の淵に追いこむ悪魔の声でしかなかった。
「お願い、あなた、やめて下さい……怖い……私、怖いの」
「怖いことなんかあるもんか。とってもよくなるはずだよ」
裕美子が言葉の意味をとり違えたことに、正三は気づかなかった。
怖い――それは正三そのものに対する恐怖の念に他ならない。正三はそれを、これから行なわれようとする行為と勘違いしていた。
正三の指がデルタの茂みを撫であげ、かきわけてきた時、裕美子は気張って指の侵入を拒もうとしたが、ぬるついた愛液の助けを借りて難なく秘口に押し入った指は、沈みかけた彼女の快楽の波をざわめかせた。
「あっ、あなた……」
やめて、という言葉が湿った唇の奥で消えていった。
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