官能小説販売サイト 蘭光生 『淫獣学園(上)』
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蘭 光生    淫獣学園(上)

目 次
第一章 白濁の破瓜
第二章 恐怖の剪毛式
第三章 展翅板の美蝶
第四章 美形の誑惑
第五章 教壇の倒錯劇
第六章 緋桜団私刑

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 第一章 白濁の破瓜

     1

 木暮むつみは朝から生理痛に悩まされていた。生理の影響は人によって個人差が大きい。むつみはいつもひどい苦痛に悩まされる方だった。もともと貧血症タイプの体質の上に、生理の時にはひどい便秘になり、胎内が鈍痛で覆われる。とうとう三時間目が終わったころには耐えられなくなり、保健室にころがりこんだ。特に二月の寒い今日このごろの寒気は体にひびいた。教室内は暖房があるとはいえ、場所によってひどくアンバランスな温度である。彼女の席は暗い廊下側のせいか、日も当たらず、暖房の恩恵にもあまり浴すことができなかった。
「たしか一年生の木暮さんでしたわね」
「はい。いつもお世話になります……」
 白衣姿の保健婦の湯川恵理は、保健室の利用者ノートにむつみの名前と時刻、症状を記入していく。湯川恵理は、三十を少し出たばかりの未亡人だった。交通事故で一昨年に夫を亡くしてから、老母と四歳の子供をかかえて途方にくれていたのを、この光学園高校の理事長の知人の紹介で、幸い、その資格をとっていたこともあり、去年の春から勤めはじめていたのだった。
 むつみは光学園の制服である濃紺のブレザーコートを脱いで、ベッドの脇のカーテンレールにかけてあるハンガーにかけ、ネクタイを少しゆるめると、ブラウスにスカート姿のままベッドに入った。その体に湯川が毛布をかけてくれた。
 光学園は幼稚園から高校まであるが、中学まではほんのニクラスか三クラス、それも少人数のクラスしかない。高校になると、下から上がってきた人数は一クラス程度になり(他の半数近くのできる生徒たちが他の優秀な私立高や大学の付属高校などに行ってしまうからである)、一般募集で入ってくる生徒数が五クラス分くらいあり、計、六クラスから年度によっては八クラスになることもあった。しかも男女共学なので、ユニークなスクールカラーもある代わりに、いろいろと問題も少なくなかったのである。
 保健室は、男女別にベッドが三台ずつあり、男と女は部屋のせまい通路をへだてて別になっていて、カーテンで仕切られている。
 むつみは、暖房のきいた保健室の暖かさと毛布にくるまれて、やっと苦痛が和らぎ、数分後にはうとうとと眠りに引きずりこまれていた。十分くらい、まどろんだのだろうか。
 突然、カーテンごしに男たちの声がして目が覚めた。
「先生、おれたち三人、急に腹が痛くなってよう、しばらく休ませてくださいな」
「三人も同時に? しかも同じクラスの生徒でしょう?」
「同じクラスだからさ。いま体育の時間でさ、マラソンやっていたのよ。それで急におれたち三人が横腹が痛くなってね。ひょっとしたら、集団盲腸かもしれないから、保健室で安静に寝てろって、杉本先生が言ったんだ」
「ほんとですよ、先生」
 おもねるように、他の男生徒の声がした。
「そんなこと言われても……ベッドはもう、二つふさがってるの」
「だったら、女の方が空いているでしょう?」
「そういうわけにはいかないでしょう」
 さっきのボス格の男生徒の声がした。
「おう、新井、のぞいてみろよ、ベッドを。どうせ授業をサボって寝ているんだ。そうそう、先生、そのノートを見せてください」
「だめよ、田鍋君……」
「生徒が見ちゃいけない規則でもあるんですか。いいでしょうが……。へえ、女性部屋にいるのは、一年の木暮むつみじゃないか。それに、野郎どもの方も、二人とも一年生じゃないか。よう、新井、二人とも追いだしちまえ。かまわん!」
「田鍋君、やめて!」
「よ、新井、今川、遠慮しないで二人とも追いだしちまいなよ」
「オーケイ」
「おい、お前ら、一年生のくせに、こんなとこで授業サボってるなんていい度胸しているな。さ、もう休んだんだろう。さあさあ、交替、交替」
 ごそごそとベッドから起き、服を着る気配がして、二人の男子生徒が外に出ていった。
「田鍋君、あんまりむちゃやると、生活指導の先生に言いつけますわよ」
「どうぞ、どうぞ、と言いたいとこだけど、それはやめてくれないかな。第一、湯川先生は、そんなこと、絶対にやらないよね、いや、よな」
「田鍋君……」
「田鍋君、田鍋君……って、あんまりなれなれしく呼んでもらいたくないね。あんたは、うちのおふくろの口ききで、この学校に勤めさせてもらったんだろう? ここに勤められなきゃあ、いまごろはスーパーのパートタイムかなんかで、子供とおふくろさんかかえて、食うや食わずで汗水流して働いているはずじゃないのかな。近所のよしみで、うちのおふくろが、ここの理事長といとこ同士だったから仕事を世話してもらえたんだ。一日中、こんな暖かい部屋でぬくぬくしながら、ノートの番だけして金がもらえるんだ。こんないい仕事、他にないんじゃないの?」
「…………」
「へえ、そうだったんかい」
 新井と今川が、田鍋と湯川恵理との関係を知ってびっくりしている。
「道理で、田鍋が保健室で顔がきくわけだ」
「ところで、ベッドに入る前に、ちょっとトレーニングするか」
「?…………」
「新井、入口のドア、鍵かけろよ」
「え?」
「言われた通りにするんだ」
「わかったよ」
「田鍋君、あなた、どうするつもり?」
「すぐわかるからさ。湯川先生はそこから動くな。少しでも叫んだり、逃げようとしたら、それこそ、いま言ったわけだから、あんたをいつでもクビにしてしまうぜ。ちょうどあとひと月で学年も終わり、すぐに新学期になるんだ。クビにするにはちょうどいいタイミングだと思いませんかね?」
「…………」
「今川、湯川先生を見張ってろよ」
「おいきた」
 そこまで、カーテンごしに会話を聞いていたむつみは、処女の本能とでもいうのか、はっきりと身の危険を感じた。すばやくベッドから出ると靴をはき、ハンガーに手を伸ばした。
 が、その時、仕切りのカーテンがサッとめくり開かれ、田鍋が顔をのぞかせた。
「あっ!」
 いままで声と名前だけしかカーテンごしなので聞こえなかったが、むつみは田鍋の顔を見て、思わず声をあげた。
 上級生だし、相手が男生徒なので名前は知らなかったが、顔はよく知っていたからだ。彼女ならずとも、この学園の生徒なら、たいていは田鍋の顔は知っている。


 
 
 
 
〜〜『淫獣学園(上)』(蘭光生)〜〜
 
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