蘭 光生 レイプ仕掛人
目 次
第一章 蹂躙
第二章 破瓜
第三章 輪姦
第四章 許嫁
第五章 写姦
第六章 縫合
第七章 陥落
第八章 屈従
第九章 標本
第十章 逆転
(C)K. Ran
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第一章 蹂躙
1
窓を開けると、むせるような青臭い花の匂いが、ゆかりの鼻をついた。栗の花の匂いであった。
昨夜の雨で、レモン色の小さな粒状の花が花房ごと地面に散り敷き、庭の一隅をまだらに彩っていた。
初夏を想わせる暖かい湿った空気の中で、その栗の花の匂いがむっとするほどの強烈さで部屋の中にまで流れこんできた。
その匂いに気がついたとたん、ゆかりは、夫の昨夜の恐ろしい愛撫を思いだし、女体の芯がじーんと疼いてくるような感じに襲われて、思わずひとりで顔を赤らめた。
一年前に結婚し、この家でスイートホームをかまえた時、ゆかりはこの栗の花の匂いをかいで、その青臭いむせるような匂いにびっくりしたものだった。
夫の貴淑はにやにや笑いながら、
「知ってるかい? この匂い……栗の花さ」
「栗の花? まあ、はじめてかぎましたわ。栗の花の匂いって……」
「これはね」
言いかけた貴淑は、
「ま、いいや。そのうちに話してあげる」
新婚早々だったせいもあるのだろう、そこで言葉を切ってしまった夫に、ゆかりはしつこくその話のあとを尋ねたのだが、そのつづきを知ったのは、甘い夜の交わりが半年もつづいたあとのことだった。
夫の体を口にふくまされ、唇でしごくように愛撫するテクニックを教わり、愛する夫の体を口に咥えることの悦びを知ったゆかりは、夫が疲れてその気がない時など、まるで母親の乳房をねだる子供のように、自分のほうから吸いついていくこともあった。
男の樹液を呑むのも、最初は目をつむり、まるでヒマシ油でも嚥下するように一息に呑みくだしていたが、だんだん馴れてきて、その味を意識して味わうようになった頃、突然あの栗の花の匂いを鼻孔の奥に感じたのだった。
ゆかりはびっくりして、
「あっ、わかりましたわ。なぜあなたがあの時、急に話をやめたのか」
「あの時?」
「いやですわ。ほら、あの栗の花の匂い……」
「ああ、あれ。で、その意味がわかったわけ?」
「はい……」
ゆかりは赤くなってうなずいた。
その栗の木は、その頃、小さな貧弱な青い実を枝につけていた。やはり都会では、食べられるような大きな実にはならないらしい。
その栗の花の季節がまたやってきた。
わずか一年の間に、なんといろいろなセックスを覚え、楽しんできたことだろう、とゆかりは思った。
お嬢さま大学の短大を出てすぐに貴淑と結婚したゆかりは、それまで男性経験が皆無だった。それだけに、セックスへの開眼を境いに、精力的な夫の要請もあり、ほとんど毎日のようにセックスに励んできたおかげで、著しいほどの進歩を示したのだった。毎夜毎夜が、新しい体験の連続だった時もある。女体というものが、こんなにも深い悦びを底に秘めた生物であることを知り、ゆかりは自分でもびっくりしたくらいであった。
そして昨夜もまた、新しい性体験を味わい、それを思いだしただけで、花唇がじわっと濡れてくるような思いさえしてくるのだ。
そんなうっとりとした感覚に酔っていたゆかりは、突然鳴りだした電話のベルにぎょっとした。
「はい。嶺でございますが」
「嶺希美さんのお義姉さまですね?」
夫の妹の名を出されて、ゆかりは驚いた。
なんだって今頃、希美さんの名前が……。
「私、嶺さんの担任の布施と申します」
「ああ、布施先生でいらっしゃいますか。いつも希美ちゃんがお世話になっております」
「実は希美さんも三年になりましたことですし、来年の大学受験のこともあり、進路の相談もかねて、家庭訪問をいたしております。今日は私、午後の授業がありませんので、これからそちらへおうかがいしたいと思いますが、よろしいでしょうか? このことは嶺さんにもう伝えてあるのですが」
「まあ、なにも聞いておりませんわ。きっと希美ちゃん、忘れたんですね。でも、どうぞ、いらしてくださいませ。あいにく主人は会社ですが」
「いえ、お義姉さまで結構です。では一時半頃に、そちらにおうかがいできると思いますので、どうぞよろしく」
すごく感じのいい女の声だった。
夫の妹の希美は、ゆかりがこの家に嫁に来てから、ここのほうが通学に便利だという理由で同居していた。家も広いし、姉妹のいないゆかりにとっては、新しく妹ができたような楽しさもあり、喜んで義妹の面倒を見ていたのだった。
四月に入ってすぐに父母会があったのだが、あまりにも自分が若いこともあり、出席者も少ないし、希美自身、出席する必要がないと言い張るのであえて出席しなかった。だから新担任の布施先生にも会ったことはなかったし、希美の口からも担任の話はほとんど出たことがないので、ゆかりは布施先生についての知識は皆無に近い。
一時半きっかりに、玄関のチャイムが鳴った。インターフォンで応答してから、それでも念のために、玄関のドア・スコープから来訪者を確認した。
三十歳前後の、フレームレスの眼鏡をかけた、いかにもインテリ風の女性が立っている。大きめのショルダーバッグを、胸にかかえていた。
ゆかりはドアを開けた。
「どうぞ」
先生を招じ入れようとした瞬間、布施先生の代わりに、なにか影のようなものがゆかりの脇を猫のようにすり抜けていった。それは猟犬のように素早く、しなやかに、しかもたしかな足どりでスッと入りこむと、ゆかりが驚きの声をあげる暇もないうちに彼女の背中にまわりこんでいた。
「あっ!」
やっと声をあげたとたん、男の片腕が太い蛇のようにゆかりの首に巻きつき、喉骨が折れんばかりの強い力で細い首を締めあげてきた。
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