官能小説販売サイト 北原双治 『密会の誘惑』
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北原双治    密会の誘惑

目 次
強淫の連結
復讐の蜜夜
美しき憤淫
狂乱三重奏
美肉糸括り
淑やかな交接
魔姦の囁き
肉体の償い
愛欲の条件
焦がれる女体
妖艶な誘い
異形な情事

(C)Sozi Kitahara

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 強淫の連結

     1

 面談で聞いていたのと、そっくりそのままの室内だった。二十畳ほどもあるワンルームで、カウンター付きのキッチン、その前に小さな白いテーブル、左手に洋式便器とバスタブがあり、右手に大型テレビとオーディオが並び二人掛けのソファが置いてある。そして、鉢植えの奥にセミダブルのベッドが見えた。
 それらが全て見渡せる文字通りのワンルームの造りで、ドアは玄関に一枚あるだけで他に視界をさえぎる壁はなかった。ただ、バスルームとベッドにはカーテンが据えつけられていたが、それも開け放されたままになっていた。
「こういう部屋が、現実にあるとは、……凄いもんだね。しかし……」
 室内を見回しながら、おもわずふるいちゆきひろは感嘆の声をあげていた。
「現実なんて、はかないわ……」
 壁に据えつけられたクローゼットを開けながら、いしぐろが達観したように言う。
 彼女はピアノ教師で渋谷に教室も主宰しているが、彼が所属するかやカウンセリングのクライアントでもある。
 その石黒美穂に請われ、ピアノを聴かせてもらうために彼女のマンションへやってきたのだ。名目はなんであれ、相談室の外でクライアントと接触することは、厳禁されている。
 相談者のプライベートな場所に踏み込むことはリスクが大きく、トラブルの元になるからだ。まして、石黒美穂のような二十代の美しい女性が患者では、多くの誤解をもたらし第三者へ弁解できないだろう。つまり、一方的な恋心を抱かせたり、あるいは男女の仲に発展してしまうケースがあるからだ。それでは心理療法は失敗するし、ビジネスとしても成り立たなくなる。
 それを承知で、古市は日曜日の午後、クライアントから誘われるままに、彼女の部屋へやって来た。面談で聞いていた彼女の風変わりな部屋を自身の目で確かめたいとおもったからだ。石黒美穂に心理療法を施して半年になるが、彼女は一向に回復の兆しを見せていない。そんなこともあり、ひょっとしてなんらかの手掛かりを見いだせるかもとおもい、彼女の誘いに乗ったのだ。
 むろん、発覚すれば規律違反になり、茅場カウンセリングから何らかの処分を受けることは確かだ。いや、室長のほしざとようざぶろうから口頭でいましめられるだけだろう。彼女を最初に担当したのが、室長だからだ。色彩分析と夢判断を専門とする室長のセラピーは、それなりの実績をあげていたが、石黒美穂に「夢は一切見ない」と言われ、あっさりさじを投げてしまい、彼がクライアントを引き継いでいた。
 そんな経緯もあって、古市は規律を破ることに、さほど迷わなかった。室長が放棄したクライアントを引き受けた形であり、多少の冒険も許されるとおもったのだ。
「たしかに、現実は儚いかもなあ。でも、ピアノ教師として、ん、……ピアノはどこにあるんですか」
 ソファに腰を下ろしながら呟くように答えかけて、古市はどこにもピアノが見当たらないことに初めて気づき、いてみた。
「そんなもの、教室にきまっているでしょう。これを見て、学習してちょうだい」
 素っ気なく言い、石黒美穂がビデオテープを突き出してくる。
「学習って、……これ、リサイタルのテープなの」
 げん顔で聞いた彼にかわまず三本のテープを膝へ放ると、彼女はきびすを返しカウンターの中へ入っていく。
 やれやれとおもいながらも石黒美穂のとっな言動には慣れており、従うしかないとおもった。
 どのテープにもラベルはなく、古市は無造作に一本を掴みデッキにリセットし、リモコンを操作した。
 いきなり、大型画面に栗色の髪を鷲掴まれた白人女性のゆがんだ顔が映る。男のもう一方の手は、Tシャツの上から乳房を鷲掴んでいる。男は黒人で、見る間に女はフロアへ押し倒され、Tシャツを引き裂かれ、白い乳房を露出していた。


 
 
 
 
〜〜『密会の誘惑』(北原双治)〜〜
 
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