官能小説販売サイト 牧場由美 『人妻痴女日記』
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牧場由美    人妻痴女日記

目 次
第一章 人妻痴女日記
第二章 ペッティング
第三章 のぞかれて
第四章 公園の男たち
第五章 女流作家の性
第六章 映画館の痴女
第七章 のぞき男たち
第八章 人妻売春願望
第九章 痴漢アダルトDVDビデオ
第十章 満員電車の痴女

(C)Yumi Makiba

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 第一章 人妻痴女日記

     1

 わたしの小説には、積極的に性を楽しむ女がよく登場する。それはおおむね、わたしの肉体の底に生まれつき眠っている特殊な性癖の反映といっていい。
 いくつかの小説で告白していることであるが、わたし(牧場由美)には痴女願望がある。
 痴女願望といってもよくわからないかもしれないが、たとえばショーツが見えそうなくらい短いスカートと、胸の膨らみが見えてしまいそうなビスチェ姿で満員電車などに乗り込んで、男の指でタッチされるのが好きなのである。
「それは被痴漢願望じゃないですか?」
 と言った編集者がいたが、絶対に被痴漢願望ではないと思う。
 わたしは男にほんろうされるのが好きなのではなくて、男を翻弄するのが好きだからだ。
 わたしはどんなに他人の目から見て被害者に見えようとも、加害者になりたい女だからなのである。
 だから、しょっちゅう満員電車やエッチな映画を上映している映画館の客になる。
 満員電車にはその性癖を持つ痴漢常習者が、鋭敏な臭覚でわたしのような痴女性を持った女が電車に乗り込んでくるのを待ち構えている。だが、ポルノ映画館には普通、痴漢性を持つ男たちは出没しない。そういう映画館はそもそも女性客がほとんどいないのだから、痴漢をするのが好きな男は、場末のロマンチックな映画を上映している名画座とか、普通の映画を上映している映画館に入るのである。
 痴女の性癖のある女性一般にいえることかもしれないが、わたしは痴漢常習者の自信たっぷりなタッチをあまり好まない。むしろ、わたしの魅力に抵抗しきれなくなって、かなり長い時間のムラムラした妄想の果てに、痴漢など一度もやったことのない男たちがおずおずと胸をときめかせて触ってくる瞬間にときめきを感じることが多いのである。
 痴漢でない人間が痴漢になる一瞬のとまどいの表情が好きだ。
 それはもしかしたら、男性がバージンの女性を好きな心理とか、ソープランドの女性が童貞の男性に出会うと妙にうれしくなる心理と同じなのかもしれない。
 さわられる女性よりも、触る男性の胸の方がときめいているはずである。痴漢にいたずらされている女性が軽犯罪法に触れるおそれはほとんどないが、痴漢をする男性は常に検挙される危険を冒しているわけである。女性がいきなり声をあげたり、周辺の男が腕をグイと掴んだり、満員電車の場合は鉄道警察隊のおとり捜査官が乗り込んでいる場合も多いのである。
 そうした葛藤を乗り切って男性は女性に触ってくる。
 男たちにおびえの感情があるからこそ、わたしは痴漢に接する時はデリケートな思いやりの感情を見せてあげることにしている。
 というよりも、たとえば映画館の闇の中で女性の体にタッチしている男性は、その女性がそこにいるのは何かのわなではないのかという不気味な感情に捉えられていることが多いらしいのである。
 痴漢を専業にしている男はいない。
 たいていの男性は普通の仕事を持っていたり、家庭を持っていたりする。突然の逮捕は彼の日常をたたきのめしてしまう。だから女性が妙な動きを見せると、痴漢は突然、全力疾走で現場から逃走してしまうことがあるのである。
 たとえば満員電車の混雑の中で、わたしが誰かに話しかけるとか、映画館の廊下でわたしが誰かに電話している姿を見ると、痴漢というのはたちまち顔色を変えて逃げ出してしまう……。
 そういう行為は、加害者である男性の勃起したペニスに冷水を浴びせたような効果をもたらすもののようである。
 ベテランの痴漢は無言で触ってくることが多いが、突発的にわたしに触ってきた男性たちは、わたしに話しかけてくることが多い。
 わたしは彼らとのんびりと話をするのが好きだ。
 どんな男性にも痴漢性はある。
 もしかしたら男の痴漢性こそ、人類をここまで発展させてきた最大の原動力ではないかという気がする。わたしは過激な服装と、魅力的な自分の肉体で、男たちが必死で抑えている痴漢性を引き出してしまうのが好きなのである。
 
 
 
 
〜〜『人妻痴女日記』(牧場由美)〜〜
 
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