官能小説販売サイト 川本耕次 『スクール水着の秘密』
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川本耕次    スクール水着の秘密

目 次
いちごみるくのマドモアゼル
ヴァージン・フラワー
桃色まんじゅう
張りボテ学園ラブホテル
すくうる水着・美少女付き
卒業エロ写真
れずっメグの大冒険
幻のスクール水着・白い痕跡
スクール水着の秘密

(C)Kouji Kawamoto

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   いちごみるくのマドモアゼル

「ボーイ……! いちごみるくプリーズ」
 露天風呂みたいなちっちゃなプールの脇で、スクール水着の少女がそう叫んだ。
「イエス、マドモアゼル」
 短く答えて、僕は伝票片手にそそくさと寄っていった。
「いちごみるく、……ひとつ?」
 ボールペンで伝票に書きこみながら言うと、その女の子は奇妙な顔をする。
「ひょっとして……日本人?」
 僕は少しムッとした。
 日本語で『いちごみるく』なんて注文しておいて、日本人なの? はないだろ? いくら半年にわたる東南アジア暮らしで真っ黒に陽焼けした僕だからって。
「イエス。マドモアゼル」
 ぶっきらぼうに答える。ちょっと、ムッとしてたから。
「へえ、シンガポーリアンかと思った」
 僕の感情なんか無視して、その女の子はこちらを向いた。この娘、なんでスクール水着なんかつけてるんだろう。そう思った。
 だって、そうだろ? ここは中学校のプールでも、田舎の海水浴場でもない。インドネシア・クルーズの豪華客船『ポーラスター号』の一等船客デッキだ。
「なんで日本人がこんなところでボーイなんかやってるの?」
 身体をくねらせて、彼女はそう聞く。無邪気な顔をしているところをみると、別に悪気はないらしい。
「旅行してたら、帰る金がなくなっちゃったんだよ。アルバイト」
 このにスクール水着は、そろそろ無理がある。だって、おっぱいが大きくなってきて、乳首なんかも小さいのがキュッと出ちゃって、それがプルッと震えるんだもの。
 プールで泳いでいるトドみたいな英国老婦人のほうに視線をそらして、返事をする。
「ふうん、おもしろそうね」
 たいしておもしろそうでもない口調で彼女は答える。
「あたしなんか、ぜんぜんおもしろくないわ。年寄りばっかだもん」
 パック旅行が好きなのは日本人だけじゃない。このデンマーク船籍の客船は、シンガポールを出てインドネシアの島々をめぐり、バリ島まで行く、二週間のツアーが売り物だ。ほとんどの客はイギリス人、ドイツ人などのヨーロッパ人。
 船に寝泊まりしてボーッとしていれば観光ができるんだから、これこそ究極のパッケージ・ツアーというやつで、もっとも、外国人でも若い連中はそんな旅行をしない。
 棺桶に両足つっこんで、かろうじて首だけ出しているような年寄りばかり。
 どうやら中学生らしきこの女の子、遊び相手がなくって退屈しているらしい。
「キミは、……両親といっしょなの?」
「パパもママもいないわ。死んじゃったの。オジイサンとオバアサンと」
 そうか、この娘が噂の『ポーラスター号』のプリンセスか。
 僕は納得した。
 日本人の、しかも英語のまったくダメな年寄りと子供が乗りこむことになって、たまたまこの船は、シンガポールで日本語のできるボーイを探していたのだ。
 二週間で約七万円。
 とりあえず食いつなげるし、帰りの旅費もそれだけあればなんとかなる。
 もぐりこんだ僕が、中国人のコックから教えられたのは、老人の執事とお付きのばあやをしたがえたその娘が、日本の華族の血をひく『プリンセス』であり、英国人やデンマーク人のボーイたちがこぞって狙っているということだった。
 ……どうせ、金と暇をもてあましたTVなんかに出てくるお嬢さまだろう。そう思って、気にも止めなかったわけだ。
「でも、執事とばあやが一緒だって聞いたけどな」
「やっだ〜っ、……あれ、おじいちゃまとおばあちゃま。おじいちゃまは四菱商船の重役よ。執事なんて言ったら怒られるから」
 初めて、彼女は楽しそうに笑った。
「ふふっ、あなたってば、おもしろいヒトみたいね。……ね、ねっ、ここに座って、お話ししない?」
「仕事中で。いちごみるく一つですね?」
 ビジネスライクに僕は宣言した。
「でも、夕方になればオフになるからな。従業員の船室は狭いし、二等デッキの通路で涼んでいるかも知れない」
 ひとりごとみたいに言って、僕はその場を立ち去るのだった。

 いくらたった一組の日本人船客を世話するために雇われた僕だといっても、あんまり馴れ馴れしくすることはできない。あくまでサーバントだ。
 その女の子にはちょっと興味を持ったし、僕としても日本人と会話を交わすのは、そう、もうふた月ぶりかな?
 暗くなって従業員用の食堂(仲間はエサ小屋と呼んでいる)でマズいメシを食い、そそくさと着替えて二等デッキに出る。
 ホントはいけないと言われているんだ。
 従業員が私服でデッキをウロウロしてたら、この「社会」の秩序というやつが保てなくなってしまう。豪華客船というのはあくまでも階級社会なのだ。
 その僕を見つけて、女の子はニコッと笑った。白いナイーブな曲線のリゾート風のワンピース。
「ここ、初めて。いつも上だから」
 珍しそうに言う彼女。
 
 
 
 
〜〜『スクール水着の秘密』(川本耕次)〜〜
 
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