官能小説販売サイト 鳳春紀 『若妻響子・淫ら蜜』
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鳳 春紀    若妻響子・淫ら蜜

目 次
第一章 若妻響子 視姦される魔悦
第二章 誘妻響子 赤い肉びらの雫
第三章 艶妻響子 牡をそそる秘香
第四章 濡妻響子 舐められる愉楽
第五章 恥妻響子 盗まれた淫ら花
第六章 淫妻響子 待ち焦がれた射精

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   第一章 若妻響子 視姦される魔悦

     1

 快晴だというのに、遠くの空で雷が鳴っている。目を覚ました響子は、窓際に吊した風鈴をしばらくぼんやりと眺めた。小さな金魚鉢を逆さにしたようなガラスの風鈴で、昼に町でメロンと一緒に買ってきたものだった。風がないから、せっかくの風鈴も鳴らない。風鈴どころか、別荘の周囲の樹々からは、蝉の声も鳥のさんざめきも聞こえてはこない。ただ、陽光と影が風景を縁取っているばかりだった。
 この静かな空間で、裸身に近い姿の響子は目を覚まし、籐性の長いすの上に敷いたタオルシーツに皺を寄せて身じろいだ。乳房が揺れて、汗ばんだ胸に深い谷間ができている。壁の時計を見ると、午後三時前だった。一時間ほど昼寝をしたことになる。
 響子は静かに上体を起こし、二の腕に落ちたシュミーズの肩紐を気にすることもなく、ポットから冷水をコップに注ぎ、半分ほど飲んだ。昼頃に覚えていた軽い頭痛も、おそらく直射日光のせいだと思われるだるい疲れも、いつのまにか消えている。
 響子は白い喉をそらして冷水の残りを飲み干した。滴が胸に落ちて、左側の乳首を少しだけ濡らした。シュミーズに点々と小さな染みができた。
 このとき、響子は今しがたまで性夢を見ていたことを思い出した。それは、数人の男たちから同時に精液を浴びせられている夢だった。挿入をせがんだのに、男たちは意地悪くも自分たちでしごいて彼女の肌の上に勢いよく放出したのだった。
 夢が隠れた願望のあらわれというのなら、響子は人妻らしからぬ願望を秘めているということになる。あるいは、人妻ゆえにそんな願望を育ててしまうのかもしれなかった。まして、もう十日ほども交接から遠ざかっている身である。心は抑制していても、熟した肉が、隠された性感地帯の粘膜が、男の猛りを欲しがらないわけがなかった。
 響子はその証拠を確かめるように、シュミーズをたくし上げて、下腹部にぴったりと貼りついているパンティの中へと右手を入れてみた。赤いマニキュアをほどこした指をそろそろとおろしてゆき、恥毛の中へと分けいる。
 湿った溝。クリトリスを包み込んでいる柔らかい皮、その下からすでに女の果汁がひだの境目をたっぷりと覆っている。まるで、メロンの果汁にあふれた種の部分に触れているような感じだった。
 響子はそこから指を引き抜き、目の前にかざして見た。指が粘液でつやつやとしてしまっている。
「……こんなに」
 思わずつぶやいたほどの濡れかただ。頬が少し熱くなった。
 響子はパンティの横紐をほどき、脚から抜いた。やはり、潤沢な粘液は外側の布地まで滲み出て、うずらの卵ほどの染みをつくってしまっていた。汗と混じって甘酸っぱい匂いさえ醸し出している。
 響子はテーブルの上に腕を伸ばしてティシューをつまむと、脚の間を簡単にぬぐい、パンティの内側の生地も拭いておいた。女の果汁を吸ったティシューは丸めて、籐編みの屑籠に捨てた。
 屑籠の近くのマントルピースの上にはダイヤル式の電話機があるのだが、いっこうに鳴る気配がない。五日ほど前に夫の洋平から短い電話があったきりである。忙しいのはわかっているが、会社持ちの別荘に妻だけを送っておいて安否を尋ねるやさしい言葉もないとはどういうことなのか。響子としては、少し腹が立つ。
 林に囲まれた別荘で、姑らの目や耳を気にすることもない親密で淫らな夜を過ごそうと思っていたのに、今の状態では東京オリンピック前に建てられたというこの古い洋館に隔離されているようなものだった。
 もっとも、物理的に日常から離れたからこそ、気分的に安穏としていられるし、けだるさの要求するままに下着姿で昼寝もできるのだった。
 だが、昼寝から覚めたあとは、いつもながら少々もの悲しくも思う。空気は暖気に満ちていても、時間が茫漠と広がっているだけである。日常の瑣末な用事や悩ませることがない代わりに、心をうずかせるものが待っているわけでもない。ただ、茫漠としている。この茫漠の中に置かれた自分の肉体だけが重くなる。
 響子はゆるやかなウェイブのかかっている量感豊かな髪を右手の指でかきあげ、うつむいて、絹のキャミソールシュミーズ一枚に覆われた自分の体を見た。
 細身なのだが、乳房は不釣り合いなほど大きい。腕は少しく陽に灼けているのに、胸元はもともとの色の白さを保持している。そんな肌にありながらも、外向きに突き出た乳房はさらに陶磁器色に白く、皮膚の下に血管が青く透き通っている。だのに、キャミソールを内側から持ち上げている二つの乳首は、唐突な紅色に染められている。生来の色でありながら、まるで誰かが執心してルージュを濃く塗り込めたのではないかと思うような色だ。そんな乳首が、下着生地のかすかな揺れに触れられて、持ち主の意思とは別に固くなったり柔らかくなったりしている。
「女ざかりなのに……」
 男の愛撫から遠ざかっている乳首に話しかけるようにつぶやき、響子は両腕を交叉させて、寝汗でやや湿っているシュミーズを頭から脱ぐと足元に落とした。籐椅子に腰かけた彼女の全裸を見ているのは、壁の時計とドアの鍵穴だけである。
 響子は胸をそらして立ち上がり、ドアの横にある大きな縦長の鏡に裸身を映してみた。
 まるで、逆光に縁取られた白く細長い花瓶がそこにあるようだった。本物の李朝の花瓶と違う点は、胸を隠すほどに髪が長いこと、生々しい乳首があること、下腹部に黒く艶やかな毛が生えていることだった。
 鏡に近寄り、響子はやや足を広げて立った。両手をけいにあてがい、黒い茂みを注視する。陰毛は全体的に短めで、よく縮れている。逆三角形に生え揃い、奥にひそむ恥裂をそっと隠している。その溝だけ、縦状に濃くなっている。
 ここを舐めてほしい。この恥溝を、煙草くさい唾液で濡らしてほしいと思う。そう思うとき、響子は夫の唇から伸びてくる舌だけを想像しているのではなかった。今は知らない誰か、性交にたけた誰か、自分のために興奮して、はちきれるくらいに勃起してくれる誰かの舌を想像していた。
 
 
 
 
〜〜『若妻響子・淫ら蜜』(鳳春紀)〜〜
 
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