由布木皓人 人妻と担任教師
目 次
プロローグ
第一章 監禁・夜の理科室
第二章 弄虐・生贄の解剖
第三章 相姦・背徳の法則
第四章 媚態・観察と実験
第五章 火刑・特殊な飼育
第六章 恥辱・息子の教室
第七章 崩壊・野外の研究
エピローグ
(C)Kohjin Yuhki
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プロローグ
真行寺夏子が目を覚ましたのは、ひんやりとしたタイルの上だった。
青白い常夜灯の明かりが、部屋のなかに射しこんでいた。床の上を、赤い沢蟹がカサコソと音をたて、ハサミをかざしてゆっくりと歩いている。時折りその歩みをとめては、細長い目を天井に向ける。
沢蟹は一匹だけではない。二十匹、三十匹……いや、もっといるかもしれなかった。部屋のいたるところから、カサコソという沢蟹の横歩きする足音が聞こえていた。
沢蟹は静謐のなかにも、室内に人のいる気配を感じとっている。
夏子はそのカサコソと音をたてているものの正体が、沢蟹であることに気づくまでにかなりの時間を要した。
白い柔肌を全裸に剥かれ、両手両脚を緊縛されたまま、床の上に転がされているのに気づくには、それよりさらに時間がかかった。
目を覚ました時も、そして今もなお、夏子は自分がどこにいるのかわかっていない。
いや、それどころではなかった。なぜこんな仕打ちを受けているのか。誰に、こんな目にあわされたのか、夏子には、その理由や経緯さえ判然としていないのだ。
最後の記憶は、帰宅の途中で何者かに背後から襲われ、クロロホルムを嗅がされて気を失ってしまったということだけだった。
真行寺夏子は三十二歳。結婚は十九歳の時と早く、すでに今は、中学一年生の子供を持つ母親である。夫は気鋭の若手実業家ではあるが、まだ財界で取り沙汰されるほどの大物ではない。家庭は絵に描いたような幸福な一家で、問題になるようなことは何もなかった。
誰からも、恨みを買うような覚えはない。
もしかして、ただ単に身代金目的の誘拐かとも考えてみた。
だが、それにしては、全裸にして緊縛するというのはいきすぎのようにも思える。
ここはいったいどこなの? わたしにこんなことをした張本人はどこにいるの……?
かすかに漂う薬品臭や、広い部屋に大きな机が点々と並べられているところを見ると、どこかの会社の研究室なのだろうか。それとも黒板や大きな流しがあるということは、学校の理科室なのか。それに、どうして沢蟹がいるのか。
夏子の心のうちには、不安と恐怖の微粒子が混ざり合い、ブラウン運動(空気や水の粒子が衝突することによって起こる全く不規則な運動のこと)を起こして飛び交っていた。
外からは、虫の鳴く声が聞こえている。
松虫に鈴虫に轡虫。リーリリー、リーリリーと際立っているのは蟋蟀だ。秋の夜の哀れを、澄みきった夜空とともに象徴している。夏子の心のうちをのぞきこむように、窓の外でたくさんの星が瞬いていた。
女盛りの熟れきった裸身が、窓から射しこんでくる常夜灯の青白い明かりに照らされていた。何十匹という大小の沢蟹が、オレンジ色のハサミを振り立ててその白い柔肌に忍び寄ってきている。
肌に寒さはなかったが、夏子は眉をひそめて、鼻筋の通った彫りの深い美貌に困惑の色を浮かべていた。その顔は歳よりもはるかに若く見え、しかも可憐さと凛々しさを兼備したエレガントな麗顔である。
二重瞼の切れ長の目と、男を惑わすようなぽってりとした唇が、女優顔負けの容貌に色香を添えていた。髪はウエーブのかかったロングヘアで、身長は百六十二センチ。中肉中背の、見事なプロポーションだ。贅肉はどこにも見当たらず、ウエストから腰にかけてのラインが女らしい曲線を描いて悩ましかった。
両腕が上半身とともに緊縛され、たっぷりとボリュームのある乳房の上下に麻縄がかけられている。乳房のふくらみをいっそう誇張させて、豊麗に見せていた。あお向けにころがされているのに、縄で固定されていて脇へと流れていない、大きなお椀型の蠱惑的な乳房だ。乳暈は大きめで、カフェ・オレのような薄茶色。可愛らしい乳首が、ツンと天井を向いて立っていた。
夏子のすらりとした長い脚は、大きく開かされたまま足首と足首にモップの柄を渡され、閉じられないようにして縛りあげられている。ふくらはぎがボウリングピンのように締まり、太腿は白くむっちりとして、吸いついてきそうな餅肌だ。股間では黒々とした縮れ毛が逆三角形を描いて恥丘を覆い、こんもりと盛りあがって、男なら誰でも唇を寄せてしまいたくなるほど煽情的でなまめかしい。
柔毛は濃いめで、どこからともなく忍びこむかすかな風にサワサワとそよいでいた。大きく開かれた股間に見える大陰唇には、恥丘からつづく短い縮れ毛が淫らがましく生え、鮮紅色の小陰唇が、花びらのようによじれながら肉の溝を閉ざしている。そしてその肉のよじれの上方に、小豆ほどの肉苞が、敏感なクリトリスをすっぽりと包みこんで隠していた。
「い、いやァ」
忍び寄る沢蟹の群れに、夏子は見をすくませて小さな悲鳴をあげた。膝を屈伸させてモップの柄を動かすと、沢蟹たちはいったん足を縮めて動かなくなった。しかしまた、しばらくすると内腿へと向かって横歩きしてきた。
「こ、怖いッ……」
やって来ているのは、一匹ではない。ハサミを振りかざした大きめの沢蟹を先頭に、後からゾロゾロついてきている。
夏子は腹筋を使って、やっとの思いで緊縛された上体を起こした。
その成熟しきった女体は、起きあがった姿もゾクリとするほど艶めかしい。美の美をきわめたロダンの悩ましい彫像のようだ。しかも、その女体はブロンズ像ではなく、白くて柔らかな、熱い血が流れる媚肉なのだ。
きめ細かな肌が薄明かりに青白く映えて、妖艶な官能美を生みだしている。緊縛されているということが、夏子をよりいっそうコケティッシュでセクシーに見せていた。
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