安達 瑶 少女・真美と獣慾の群れ
目 次
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
エピローグ
(C)You Adachi
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第1章
あれ、あの娘じゃないのか?
渋谷から近郊に向かうバスに乗っていた慎二は、近くに立っている制服姿の女の子に目を止めた。
間違いない。きっと、あの娘だ。
慎二はその少女にはっきりと見覚えがあった。実際に逢った事はないのだが。
高校二年の彼は、いわゆる『美少女雑誌』の愛読者だ。甘いお菓子や果物の名前がタイトルになっているそういう雑誌を何冊か、いつもコンビニで買って帰る。
AV系モデルのヌードとか売り出し前のタレントの水着グラビアをオカズにしたりもするが、慎二がいちばん最初に開くのは、『街で見つけた美少女』のページだ。
プロのカメラマンが街で撮ったものもあるし、素人カメラマンの投稿写真もあるが、写っているのは、モデルやタレントではなく、またその卵でもなく、まったくの素人の女子高生や、女子中学生の美少女たちだ。
そのほとんどが、いかにも身の回りにいそうな、親近感を感じさせる『かわいい』少女たちなのだが、たまに、タレントやモデルもびっくりの凄い美少女が登場したりする。
そういう時のショックは鮮烈で、なかなか愉しい。
プロのタレントになると、もはや全く別世界の存在という感覚だ。
けれどもシロウトの美少女の場合、こんな、物凄く可愛い女の子が、同じ学校や近所なんかの身近にいるヤツもいるんだなあ、と羨ましく思えたりする。
街を歩いていればその娘本人に出会えるかもしれない、そんなほのかな期待も湧く。
慎二は、そういう美少女をチェックするのが密かな趣味だ。
中には、雑誌に載ったのがキッカケとなってタレントになったりするケースもあるから、そういう時は「まだ無名の頃、オレがチェックしてたんだぜ」とその先見の明を友達に自慢出来る。それ以上に、もしかしてこの娘と……と思ってオナニーのリアルなオカズにすることが出来るからだ。それはまあ、リアルとは言っても比較の問題にすぎないのだが。
そんな数多くの『街角の美少女』の中で、慎二が、赤丸要チェック、と注目した少女がいた。
『真美』という名前しか判らない。それが本当の名前かどうかも判らないが、彼は一応彼女の事を『真美』と名付けた。
歳は幾つで、どこに住んでいてどこの学校に通っているのかも全く書かれていない。しかし、彼はその『真美ちゃん』の清烈な美しさをひと目見た途端に、忘れられなくなってしまったのだった。
彼女の美しさには雑誌の編集者も注目したようで、いろんな表情をした数点の写真が掲載されていた。
誰かに待ちぼうけを食わされたのか、俯き気味の寂しげな表情で立っている写真……彼女は、髪はショートカットで小柄だ。一見ボーイッシュな感じでもあるけれど、撫で肩で華奢な体つきは、まぎれもなく繊細な少女のものだ。
今どきの東京の女の子はだいたいスリムだけれども、その『真美ちゃん』の躰の細さは際立っていた。とはいってもダイエットのし過ぎのような不健康な印象では全くなく、ただひたすらに、まるで貴重な美術品のような、脆いこわれやすさを感じさせるのだった。微妙なカーブを描く眉と憂いを含んだ瞳、きゅっと締まった口元……そこには最近の女の子からは滅多に感じられないような、一種の清涼感が漂っている。
その表情が(どこの学校のものかは判らないけれど)冷たいブルーグレイの制服とあいまって、ある種の薄幸さ、いじらしさを感じさせるのだ。
思わず抱きしめてあげたくなるものがある。
けれどもそういう『憂愁』の表情を浮かべたもの以外に、『真美ちゃん』には同性の友達と談笑しながら歩いているスナップもあった。
笑顔の『真美』もとても可愛いし、こちらはお天気のよい日の渋谷公園通りの写真だから、制服の白いブラウスに陽射しが照り映えて、見るからに明るい雰囲気だ。
『憂愁』の時の近寄りがたさは消えて、人を惹き付ける親しみやすさが表れている。
弾むように歩くその姿にも、きらきらと光る瞳にも生命力が満ち溢れていた。少女の快活さと甘酸っぱい魅力がオーラのように放たれている。
膝小僧のちょっと上までのスカートからは長くてきれいな脚が伸びている。
きゅっと締まったスカートのウエストや、制服の上からでも判る、こんもりと膨らんだ胸元もとても魅力的だ。
慎二は何となく彼女に申し訳ないような気がしつつ、つい、その裸身を想像してしまった。
ルーズソックスではなく紺のぴっちりした短めのソックスが、彼女の少女らしい清楚さをさらに強調している。この丈、この色のソックスは、ほんとうに脚の綺麗な女の子じゃないと似合わないのだ。
この『真美ちゃん』は高校生なのだろうか、それとも中学生?
メリハリのある、均整のとれたプロポーションからは、ほぼ大人に近い魅力が漂ってはいる。でも全体に小柄でとても華奢だ。
それに何よりもその顔だちには、思わず男の保護欲をそそるような幼さ、無邪気さが溢れているのだ。
もしかしたら、十五歳にもなってないかもしれないな……。
慎二はそのページを凝視して色々想像をめぐらせた。
そして想像するだけではなく、更に進んだことをしてみたくなった。
真美の裸身が見られないのなら、そういう写真を自分でつくってしまおうと思ったのだ。
『コラージュ』『アイコラ』……いわゆる『アイドル・コラージュ』という方法を使えば、それが慎二のような素人にも今は可能なのだ。
彼は、深夜、インターネットにハマっている。勉強するから、と言って買ってもらったパソコンだが、H画像の宝庫が目の前にあるのに、それを放っておく男はいないだろう。
で、彼も、毎夜毎夜H系妖しい系のホームページ漁りをするのが日課になっていたのだ。
ヘアヌードならコンビニでも買えるが、それ以上のそのものずばりが、家に居ながらにして、それもタダで手に入る。政治家や教師が問題視して規制しろというのももっともだよなあ、と彼はディスプレイに表示される画像を見ながら呟いていた。
そして慎二が目下一番興味を持っているものが、その『アイコラ』だった。
絶対ヌードになりそうもないトップ・アイドルや清純派アイドルの顔写真に、他の女のヌードを合成したものが、『アイドル・コラージュ』つまり『アイコラ』なのだ。
昔はハサミとノリでやっていたから、貼りつけに限度があった。どう見ても顔と体の大きさが違ったり、切り抜きの輪郭がはっきりし過ぎていたり、光線の具合がありありと違っていたり……。
しかし最近のものはパソコンで画像を処理している。ハードとソフトの機能が急速に向上した結果、学生でも買える金額のソフトを駆使すれば、実に精巧な合成写真が作れるのだ。
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