川本耕次 『花芯伝説〜セーラー服も女教師も人妻も〜』
川本耕次 花芯伝説〜セーラー服も女教師も人妻も〜
目 次
第一章 処女必殺サネコスリ
第二章 お兄ちゃん、スゴい
第三章 受験生はサネ狂い
第四章 浮気妻 三本責め
第五章 青姦女教師
第六章 教え娘 バイブ・オナニー
第七章 帰ってきたサネコスリ
(C)Koji Kawamoto
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第一章 処女必殺サネコスリ
……行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
ふと思い出した不似合いなフレーズを口にして、クリスマスの六本木。イチローは、つい、ビラ配りの手を休めてしまっていた。
まったく、まるで川が流れているみたいだ。
この人出ときたら、もう、そろそろ電車もなくなろうという時間になろうとしているのに、かえって増えているのだ。きっと新宿、銀座なんかでの忘年会の流れなんだろう。
ミンクのコートに包まれた、女の肉体。
チラチラとボディコンのムチムチを覗かせて、女たちは元気だ。
冬だっていうのに、この
凍
い
てつくような寒さだっていうのに、半分ほども、オッパイをはみ出させて、まるでSMの女王様みたいな十センチのピンヒール。けれど、すれちがいざまに顔を拝見してみたら、厚化粧に隠れた顔はモンダイガイだったりして。
「近くなの?」
やっとビラを受け取ったのは、ひとめでわかる、忘年会くずれの一団。女がふたりに、男が七、八人。中には赤い顔をしたオッサンまで交じって、本当ならば服装チェックでハネられてもしょうがないけれど、なにせ、クリスマスの稼ぎ時だ。
「ええ。……角のビルの六階ですから」
昼間降った雪が、都会の熱気で溶けかかっている。
道はグシャグシャで、道行く無数の足が、泥をはねあげる。
イチローは自慢のコートを汚されるんじゃないかと、それしか考えていなかった。
いつもの、ホワイト・アイスクリームのロングコート。膝が隠れるほど長くって、ビラ配りには、いつもこのコートを着用している。
その中は、店の制服。
まだ『黒服』と呼ばれるまで出世していないイチローは、ウェストを絞った白いジャケツ。寒さは遠慮なしに忍びこんでくる。
……ああ、たまんないぜ。早く交替の時間にならないかなア。
こんな、街頭でビラ配りさせられるのに比べたら、ガンガン轟く騒音の中で客の注文に追いまくられていたほうがまだマシだ。
楽しみは、道を行く女たちの品定めくらいしかない。
……行く女の流れは絶えずして、しかももとの女にあらず。
口の中でそんな言葉を浮かべて、それにしても、次から次に、この女たちはどこから湧いてくるんだろうか。
抱いてもいいかナ、と思う女は、おそらく五人に一人くらい。そして、抱きたい、という気にさせてくれるのは、二十人に一人くらいってところか。
ターゲットを定めたら、かなりの確率でモノにする自信はあった。
今までだって、道でみそめた女の子に声をかけて、とりあえず店に連れこんでおいて、ゆっくりと料理。店がハネたあと、まだ踊り足りない彼女を、四谷にある、終夜営業のディスコに連れていって、そうなれば、明け方には、円山町のラブホテルはカタい。
ディスコの従業員がこんなにモテるもんだって、知っていたら、もっと早く、イチローはこの仕事についていただろう。
……抱きたい、と思わせる女は、さっきから何人も通りすぎていた。けれども、いずれもオトコと一緒。考えてみれば、こんなクリスマスの夜に、ひとりでウロウロしてる女がいるわけない。
足早に通りすぎてゆく人波。
ちょっぴり手塚さとみを思わせる、ワンレンの美人にあっけなくフラれて、くさくさしたイチローは、袖口をまくって腕時計を見た。
シンガポール製ニセモノのローレックスが、交替の時間が近いのを教えてくれる。
今夜は収穫はなしか。
やっぱり、怜子の誘いを断るんじゃなかった。イチローに夢中になっていて、もう秋口から、クリスマスは一緒ヨ、なんて騒いでいた女だ。
最近、アレの味を覚えて、かなりしつこくって、それで敬遠したのだ。
あと五分。……こう寒くっちゃ、やりきれないよ。
そう思いながら顔をあげた時だった。
イチローの立っている、ちょうど眼の前。電話ボックスの陰に隠れるようにして立っている、少女を見つけたのだった。
いつから立っていたんだろう。
髪の毛は長くて、けれどもいつもの六本木の女たちのように、ワンレンじゃない。子供っぽく、ふたつに分けて縛って、もちろん化粧もしてないから、こんな場所ではまったく不似合いに子供っぽくて、……そうか、子供っぽいというより、子供なんだ。
「カノジョ……!」
手袋をした手で、顔を隠すようにして暖めている少女。イチローは声をかけた。
ミニのスカートは、安っぽいジーンズ。安っぽいフェイク・ファーの、真っ白なコートは、短くって、あまり暖かそうじゃない。
彼をジッと見つめたままで、けれど彼女は返事をしない。
「カノジョ……!」
もう一度、イチローははっきりと彼女に向かって、声をかけた。
キョトンとした表情で、まだ自分が話しかけられたんだと、信じられないのか、彼女は指で自分をさし示して、不思議そうな顔。
「あたし……?」
「そうだよ、キミだよ」
少女は、嬉しそうな顔を見せている。
眼が茶色っぽくて、大きくって、……中学生だな。きっと十四、五歳。頬が寒さで、ポッと染まっている。
……コイツ、ぜったい処女だぜ。
サッと、店のチラシのカードを出しながら、イチローは決心した。……今夜はコイツを抱いてやる。
「えっ? えっ?」
不審げな表情をしている。
「このカードを持ってくと、女の子は千五百円で入れるんだ」
……強引にでも、店に連れこんでしまえば、電車はなくなっちまうし、それに今夜はクリスマス・イブ。優しくチヤホヤしてやれば、きっと、あっけなくついてくる。
「えっ? どこに?」
「どこって、ディスコだよ。……あそこの角のビルの、『ダイアナ』だよ」
イノセントな表情を浮かべている少女に、言い聞かせてから、イチローは疑問に思った。
「キミ、……踊りに来たんだろ? ディスコに来たんじゃないの?」
この、六本木の交差点で、チラシを配っていれば、それが何なのか、通行人は誰だって知っているはず。
どこに……? なんて聞かれたのは、初めてだった。
「でも、あたし、お金がないから」
「お金がないって、……でも、もうすぐ日比谷線、なくなっちゃうぜ」
「うん。……だから、どうしようかと思ってたの」
イチローは、ふと、思いあたった。
ときどき、こういう奇妙な女の子がいないでもない。家出……というほどじゃなく、ただ、フラッと家を出てきて、帰りたくない……という女の子。
たいていは、誰か、オトコの毒牙にかかって、あたら若い処女膜を大都会の夜に散らすことになるのだ。今まで、そういう娘はずいぶん見ている。
ただ、店では下っ端のイチローは、残念ながら、そんないいメに出会ったことはない。
「……コレ。……店で待っててくれない? もうすぐボクも戻るし、店が終わったら、ふたりでどこか、遊びに行こうよ」
ポケットから、千円札を二枚。
かなり無理やり彼女に押しつけて、……こんなことは初めてだった。
「でも……」
「あの角の、六階だから。……ねっ?」
強引に背中を押すと、ふらふらと歩いてゆく。
ミニ・スカートから出た、思春期のすんなり伸びた脚が、やっぱりなかなか魅力的で、イチローはニタッと微笑んだ。
……ノブヒロはまだだろうか。アイツが来ないと、店に戻れない。
少女は、カードの大きさのチラシを何度も見ながら、ビルの中に消えて行った。
「悦子……。牧野悦子っていうんです」
まだ、少女は怯えているみたいだった。
コートとジーンズの上衣を脱ぐと、ミニ・スカートに薄手のセーター。胸がこんもりと盛りあがって、中学生らしからぬボリュームだ。
「……こういうところ、初めてなの?」
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