由紀かほる 愛玩少女 あふれる恥蜜
目 次
第一話 涜神少女・友佳
第二話 魔淫人形・安奈
第三話 嗜虐天使・未希
(C)Kaoru Yuki
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第一話 涜神少女・友佳
1
友佳に失神の「癖」がついたのは、両親の葬式の日からだった。
ひどい暑さだった。弔い行列は緩慢な足どりで村のはずれの火葬場へ向かっていた。八歳の友佳は、小さな手を汗でヌルヌルした伯父の手にしっかりと握られていた。
火葬場に着くころには、腕はすっかり痺れてしまっていた。
「おい、いいものを見せてやろうか」
ちょうど伯父が火葬場のトイレに入ったときだった。いとこが、右手を背中に隠して近寄ってきたのだ。
「なあに?」
友佳は壁に寄りかかったまま、もの憂げに訊ねた。
「驚くなよ」
少年はさっと右手を友佳の目の前に突きつけた。少年の泥と汗で汚れた手には、ガマガエルが握られていた。
「触れねえだろう」
少年はカエルを、さらに近づけた。
「へん、弱虫」
いきなりスカートを捲って、下穿きの中へ押しこんだ。
伯父はトイレから出てくると、その場に倒れている友佳を抱き上げた。きっと、炎天下を歩いてきたため貧血を起こしたに違いないと、彼もまわりの者も思った。友佳もまた、そう思った。
次の日から友佳は、伯父に引きとられて育てられた。
酒グセの悪い伯父は、たびたび家族に暴力をふるった。ことに、無口でおとなしい友佳はいつも目の敵だった。膝の上に俯せにさせられて、まだ肉の薄いお尻をぶたれた。
友佳と同じ年頃の伯父の子供の前でぶたれることも、一度や二度ではなかった。そんなときも友佳は、決して泣いて許しを請うようなことはしなかった。それが癪にさわるのか、伯父はいっそうひどく打つ。それでも、友佳はついぞ声を出さなかった。
もちろん、痛くはあった。けれども、同じ年齢の異性に見られるという羞恥心と、熊のような手に押さえつけられて打たれる無力感に比べれば、痛さなど何でもなかった。
2
四月の中旬だというのに、朝から強い吹雪だった。校舎や礼拝堂、寮の屋根、それからまわりを林に囲まれた校庭も、ほとんど白一色だった。
「雪合戦しましょうよ」
一人が手袋のない手に精一杯の雪をかき集めた。
やがて、黄色い声が、重たげな曇り空に響きわたった。白い絨毯の上を、濃紺の制服の少女たちが、転がるように駆けていく。
「いいかい、みんな、あの子を狙うんだよ」
リーダー格のアキが、一人の少女を指した。七、八人が、意地の悪そうな笑みを浮かべて、彼女に近づいた。
少女は風下のため、眼も開けられない状態だった。
「さあ、みんないっせいに投げるのよ」
合図とともに、いくつもの雪玉が飛んできた。矛先を向けられた少女は、手にもった雪を地面に落とし、反対方向に走りはじめた。
その小さな背中に、雪玉が当たって砕けた。脳髄にまで響くような痛みに、少女は思わず涙ぐんだ。が、泣いたわけではなかった。どんなにつらくても泣かない自信のようなものが、少女にはあった。
気がつくと、眼の前に校舎の壁があった。右も左も、後ろも、同級生に囲まれてしまった。みんな、白い息を弾ませていた。背を丸めたけれども、雪玉は容赦なく少女の躰のあちこちに当たった。
「ちょっと、あんたたち」
寮で少女と同室のリエが、駆け寄ってきた。
「何よ、みんなでよってたかって一人をイジメて。卑怯よ」
「新入りのくせに生意気だから、ちょっとこらしめてたのさ。アタシの言うことをきかないとどういうことになるか、今のうちよく仕込んどかないとね」
「でも、みんなでイジメるなんてやり方は汚いわ。この子はまだ何にも知らないんだから」
連中を睨みつけてから、リエは少女の肩を抱くようにして囁いた。
「さ、行きましょう、友佳」
去っていく二人の背に、口汚い言葉が突き刺さった。
「ちょっと可愛い顔してるからって、お高くとまるんじゃないよ」
「そうそう、何も知らないと、リエにとんでもないこと教え込まれるから」
「リエはタチなのよ」
アキたちは口々に言って、下品に笑いあった。
「ねえ、お風呂に入ろう」
部屋に戻るなり、リエが言った。
「午後の授業はサボっちゃえばいいじゃない」
「もうお風呂は沸いてるの?」
「今だと、わたしたちが一番だから、お湯がきれいよ」
そう言って、リエは仕度をしに出ていった。
束ねた髪を頭の上にピンで止めて、友佳が寮の共同浴室に入っていくと、リエはもう湯舟に浸っていた。
「ちょうどいい湯加減よ」
がらんとした風呂場に、リエの低音が響いた。
友佳はリエに躰の側面を向けて、躰を洗った。
リエの眼差しが自分の裸体に熱っぽく注がれるのが、友佳にはわかった。躰を洗う手つきがぎこちなくなった。
「早くしないと風邪ひいちゃうから」
いつの間にか背後に忍び寄ったリエが、手にすくった水を友佳の背中にかけた。
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