一条きらら 若妻の吐息
目 次
第一話 痴漢ごっこ
第二話 レズと強姦男
第三話 蕩ける快感
第四話 義父の舌
第五話 青い味
第六話 感じてしまえば
第七話 甘味な快楽
第八話 義兄の誘惑
(C)Kirara Ichijo
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第一話 痴漢ごっこ
1
スーパーから帰って、マンションのドアを開けたとたん、電話のベルが鳴りだした。
友紀は急いで部屋に入り、スーパーの袋包みをキッチンの入口に置くと、リビングルームのコーナーテーブルに近づいた。
「はい、山岡です」
「僕だけど……」
「あら、あなた」
友紀は甘えたような声を出していた。夫の邦彦からである。電話の背後に会社の中のざわめきが聞こえた。
「今日、迎えに来ないかい?」
と邦彦がいった。
「迎えに? うふふ、例のあれね。いいわよ」
友紀の目が輝いた。
「じゃ、四十分後だ。新宿のホームで」
「わかったわ」
受話器を置いて、友紀はキッチンへ行き、買ってきた食料品を冷蔵庫に詰めこんだ。
それから、寝室へ行って着替えをする。
Tシャツとスリムパンツを脱いで、半袖の白いブラウスと赤いミニスカートを着た。
ドレッサーのスツールに座って、薄くファンデーションを伸ばし、口紅だけつける。
ソバージュヘアにした髪を軽くとかす。
立ち上がって、全身を眺めた。
友紀は、小柄だが、肉感的な身体つきをしている。
顔はやや童顔で、二重瞼の瞳がパッチリしていて愛くるしい。
(二十五歳の人妻には見えないわ)
と、鏡を見て友紀は満足した。三つぐらいは若く見えるし、OLみたいである。
ふだん、邦彦からくり返しそういわれているせいもある。
邦彦は、友紀の顔も肉体の線も肌の白さも、毎晩のように誉めてくれる。
ベッドに入る時にだった。
山岡邦彦と友紀は、結婚して一年だった。
甘い新婚生活である。けれども毎晩のように愛し合っているので、たまには変ったことをしてみたくなる。
二人は、中央線の荻窪駅から歩いて六分のマンションに住んでいる。
新橋に会社がある邦彦を、新宿駅まで迎えに行くのは、今日で二度目だった。
新宿から、一緒に電車に乗って来る。ただそれだけのことではなかった。
友紀は白いポシェットを手に、白い靴を履いて、マンションの部屋を出た。
エレベーターに向かって歩きながら、腕時計に目を落とす。
邦彦が四十分後といったのは六時半のことである。時計は六時十分を指していた。
荻窪駅から電車に乗った。ホームも混雑していたが、車内も満員だった。ドアぎわに立って、ほかの乗客に押しつぶされそうになりながら、友紀は外の景色を眺めた。
まだ昼間のように明るい。七月三日で、梅雨明け前である。昨日今日と珍しく晴れていた。
電車が新宿に着くと、友紀は期待で胸がはずんだ。
邦彦との電車の中だけでのデートへの期待である。
ホームの階段を降り、少し歩いて、十番線のホームへの階段を上がる。
一回目の時と同じ一番後ろの車両の方に向かって歩いて行く。
人々でホームは混雑している。
邦彦の姿は見当らなかった。新橋の会社から新宿までは三十分足らずだが、電話を切ってすぐに会社のビルを出たわけではないのだろう。
間もなくして、こちらへ向かってくる人ごみの中に、邦彦の姿を認めた。
青味がかった薄いグレーのスーツを着て、グリーンのネクタイをした邦彦の姿は、惚れ惚れとするくらい素敵で、友紀は、
(あの素敵な男性が、あたしの夫なんだわ)
と胸が甘くときめく。
邦彦が友紀の姿を見て微笑した。
「だいぶ待ったかい」
「ううん、少しだけよ」
友紀は、邦彦の小指に指をからませた。邦彦が傍にいると、どうしてもそうやって甘えていかずにいられない。
邦彦があらためて友紀の服装を眺めるようにした。
「どう、この服」
「うん、痴漢が寄って行きたくなるような服装だね」
「うふふ」
と友紀は甘く含み笑って邦彦に身体をぶつけるようにした。
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