官能小説販売サイト 北沢拓也 『人妻密猟区』
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北沢拓也    人妻密猟区

目 次
第一話 不倫に狂う午後
第二話 痴悦にかけた罠
第三話 視姦を充たす時
第四話 濡れ妻への誘惑
第五話 若妻の悶絶体験
第六話 団地妻・マル秘情事
第七話 絡みあう変態妻
第八話 乱交好き未亡人
第九話 新妻の強姦願望
第十話 背徳に挑む寝室

(C)Takuya Kitazawa 1987

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   第二話 痴悦にかけた罠

     1

 のりは足早に歩きながらいったん立ちどまり、後ろを振り返った。
 そこは繁華街からすこしはずれたあたりで、そこから坂道になっていた。
 坂道をそのままあがっていけば、ラブホテルが密集する一角に突きあたる。
(気のせいかしら……)
 紀代は誰かにけられているような気がしたのだ。が、誰かが尾けてきているような気配はなかった。
 彼女は和服の裾を押え、坂道をくような足どりであがって行った。
 板前の宮地との情事は、誰も知らないはずであった。
(それとも、あの人が勘づいて興信所の人でも使ったのかしら)
 あの人、というのは良人おっとの徳弘のことだが、徳弘がそんなことをするとは思えなかった。
 良人の徳弘は、紀代がまさか浮気などするとは思っていないにちがいない。
 いや、妻が他の男と肌を交えるなどという考えは、彼の想像のはんちゅうにはないようだ。
 それは紀代を妻にするまで女遊び一つしたことのない男の女性観でもある。
 紀代が料亭『みな川』に嫁いできてからおよそ八年が経過している。
 その間、辞めていった使用人は何人かいるが、皆川徳弘は紀代と、そして夫婦の間にできたいま小学生の正志との生活に満足しきっているのだ。
 紀代もいまの生活に不満があるというわけではなかった。
 強いて不満をいえば、良人の徳弘が夜の交わりに淡白だということである。
 そして弱い。
 その原因を、紀代は知っている。
 徳弘の場合は、酒であった。
『みな川』は常連客が多い。いちげんの客はめったに現われず、常連客で店がもっているようなものだった。
 そうしたなじみの客がやってくると、徳弘は必ず部屋に挨拶に行く。
 盃をもらい、一緒に呑むことも多い。
 客が帰ってしまうまで徳弘は一緒に呑み、騒ぎ、ぐでんぐでんになって、階下の茶の間に戻ってくる。
「あなたまで、一緒に騒ぐことないじゃありませんか」
 紀代は隣室に夜具をのべながらいうのだが、
「そんなこといったって、相手は、おとくい様なのだから仕方がないよ」
 と徳弘はいい、
「ああ、酔った、酔った」
 紀代が敷きのべた寝床にはいると、じきにいびきをかきはじめるのだ。
「しようのないかた」
 そんなとき紀代は、諦めの吐息を洩らすばかりだ。自分の体に良人がいてしまったのかとも思い、
「あなた、浮気なさってもよろしいのよ」
 といってみたこともあるが、徳弘は、
「お前に満足しているのに、どうして浮気などする必要があるんだ?」
 不思議そうな顔をしてみせる。
(なら、お酒ばかりのんでらしてないで、もっと可愛がって)
 と紀代はいいたくなる。
 それでも紀代は長い間我慢をしていた。
 だが、我慢をしているぶんだけ女盛りの不満が、しらずしらずのうちに紀代に女としてのスキをつくっていた。
 その紀代の充たされぬ身体のすき間に入りこんできたのが、板前の宮地であった。
 坂道をのぼりきったところに、宮地が知っている和風の旅館があった。
 ちいさな、あまり目立たぬ門構えで、中年の水商売あがりらしいふくよかな和服の女が、ひとりで切りもりしている。
 紀代は初めて宮地にここに連れてこられたとき、
「あのかた、大丈夫なの?」
 
 
 
 
〜〜『人妻密猟区』(北沢拓也)〜〜
 
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