官能小説販売サイト 宮内剛 『肉法要』
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宮内 剛    肉法要

目 次
第一章 ただれた秘儀
第二章 浄めの秘事
第三章 淫乱な秘戯
第四章 焦熱の秘孔

(C)Go Miyauchi

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   第一章 ただれた秘儀

 すでに戸外は暮れている。
 江戸なかの日蓮宗延命院の客殿の中は、いっそう暗かった。あちこちに燭台は置かれているが、数が少ないためである。
 客殿の広間の裏には、いくつもの小部屋が接続していた。しかも次々に建て増しされているのだ。住職のにちじゅんは、その一部屋で、いましも一人の女性信者の〃接待〃をしていた。そこも応接間同様に薄暗い。
 彼女は最近熱心に参詣しはじめた、竹という二十一、二歳の武家の女である。眉も落とさず歯も染めていないが、半年前までは夫がいたという。容貌も十人並み以上で、色気をたたえたふくよかな体つきをしていた。
 夫に先立たれ、これからの人生に不安を覚えたのが、参詣に現れる理由だと述べた。
「お竹どの、そなたの熱心なご帰依には、拙僧も感服していますぞ。祖師様もさぞかし、お見捨てにはなりますまい」
 日潤は青々とそりあげた頭をかしげるようにして、竹にほほえみかけた。住職に直って八年、四十歳になるが、水もしたたる美僧ぶりは少しも変わらない。
「もったいのうございます。そうしていただければ、この上もない幸せでございます。今後ともお導きくださいませ」
「よろしいとも。もう何度も参じられたのだから、おおかた本院のしきたりもご存じのことじゃろう。そろそろ今宵あたり、深いどくを施して進ぜたいが、いかがかな?」
 日潤は微笑を消さないまま、彼女の目をのぞきこんだ。
「ああ…」
 竹はあいまいな言葉をもらし、顔を赤らめた。当初から予期し、覚悟していたことではあるが、いよいよ実際に切り出されてみると、胸騒ぎするのだった。
 日潤は彼女の真の身分は知らない。ただの好色な若後家と見て、しっぽくを脇へ押しやるようにしてにじりよった。彼女の片手を取るや、グイッと体を引き寄せた。
「密教の秘儀のような、あのような汚らわしいことではない。男と女が和合しながら、仏果を願う神聖な法要じゃ。安心して拙僧にまかせるのですぞ」
 そう言いながら、顔をかぶせ、片手で竹の胸を広げた。女の香りとともに、胸の膨らみが半分ほど現れた。熟れきった女体を思わせる、みごとな乳房だった。
 日潤はさらに抱擁を強めた。顔を密着させて、竹の唇を吸った。聖人然とした美僧に似合わぬ、ひどく生臭いにおいがした。竹は思わず顔をそむけようとした。しかし、ぐいっと抱きしめられ、いっそう強く唇を吸われた。彼の片手はさらに小袖の衿を開き、指が胸の谷間にしのびこんだ。
「あ……、和尚さま……」
 竹はひじで彼を押しやり、なおも抵抗を示した。覚悟はしていても、本能的に体が拒むのだった。日潤はその手を封じ、
「お竹さま、何もご心配はいりませぬ。お題目だけでなく、このようにして肉の愉悦にひたることが、すなわち法悦でもあるのです。これぞ拙僧が肉法要と申す功徳なのですぞ」
 と、低い声でささやいた。衣服をまとったままでは、これ以上指が進められないので、彼はいったん胸から手をひいて、帯をときにかかった。
 竹は奥女中のように、打ち掛けをまとっているわけでもないし、まだお太鼓帯は現れない時代だから簡単にとける。まして日潤は、女を扱いなれているのだ。彼女はたちまち、小袖や間着の胸を開かれた。脂ののったふくよかな乳房が現れた。薄暗い灯の下でも、乳首の朱色は鮮やかだ。
「おお、みごとな胸乳じゃ。夫のあった身とは見えぬ。まるで生娘のようだ」
 日潤は感嘆の声をもらした。しばらくカッと目をみひらいて見入ったあと、手のひらにつつみ、いとおしそうに愛撫し始めた。時折り指で乳首をつまんで、クリクリと回したりした。
 竹はその手にまかせながら、
「和尚さま、どの女信者にも、このような功徳を授けていらっしゃるのですか」
 と聞いた。
「それは人によりますな。お望みの方には、喜んでしてさし上げます。いかがわしいことと混同なさるお方にはいたしませぬ」
「お望みの方は多いのでしょうか」
「さよう、長くお参りの方は、多くそうなりますな」
「その中には、大奥や大名家のご女中などもいらっしゃるのですか」
「ええ、まあ……。だが、人さまのことはようござんしょう。それより、お竹さま、あなたの供養に専念しましょう」
 日潤はそう言って、また愛撫の手を活発に動かし始めた。
 竹もそこで会話をやめた。彼女は密偵なのだが、最初からあまり問いつめると、身分を怪しまれると思ったのだ。日潤はさんざん乳房に戯れたあと、
「さあ、別の小部屋へ落ち着き、たっぷりと功徳をほどこして進ぜましょう」
 と言って、彼女から手を離した。竹は、一瞬身を硬くした。
(ああ、いよいよそのときがきたのだ)
 と思ったのである。

 日潤は立ち上がると、乱れた着衣のまま、竹を抱き上げた。見かけはほっそりとした美僧だが、なかなかの力持ちである。彼は初代尾上菊五郎の息子らしいという噂があったが、まんざら嘘でもなさそうな感じだ。役者は幼いときから、激しい稽古で体を鍛えているからだ。
 彼は竹を抱いたまま、片足で隣の部屋に通ずる襖をあけた。その小部屋には薄い明かりがともり、中央にのべられた寝具の周りは、六曲の屏風で囲まれていた。すこしめくってある掛布団の陰に、二つの枕が見えた。蒔絵を散らした箱枕の上に、小形のくくり枕をのせた、しゃれた安土枕である。枕元にはあんどんと、水差しや茶碗をのせた盆が置いてある。寺院の客殿というより、出会い茶屋の妖しい雰囲気だった。
 日潤は掛布団を、足で蹴飛ばすように押しやり、竹を寝具に横たえた。それからすばやく自分も法衣を脱ぎさり、下帯一枚の姿になった。下帯の内部はすでにはち切れそうに盛り上がり、男の高まりを見せていた。経験豊富な信者の場合は、なっしょ坊主の柳全が入ってきて、女性の脱衣を助ける。そして女の衣装をたたんで、柳行李へ入れるのだ。
 
 
 
 
〜〜『肉法要』(宮内剛)〜〜
 
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