官能小説販売サイト 南里征典 『飾り窓は獲物の匂い』
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南里征典    飾り窓は獲物の匂い

目 次
遺失物の女
人妻思春記
ウオッチング
賞金首の女
お手許ご用心
衣裳に棲む蟲
深夜緊急同盟

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   遺失物の女

     1

 扉に、ノックの音が響いた。
 津村達也は窓際から立って、ドアをあけにいった。真紅のバスローブをまとっていた。髪が濡れている。今、シャワーをあびて髪を拭きながら、新宿の夜景を眺めていたところだった。
 約束の時間である。扉をあけると、春らしいパープルカラーのスーツを着た北沢夏子が入ってきた。
 瞳の大きな、白い、冴えた顔だ。ミラ・ショーンのシンプルデザインのスーツがよく似合う。ジャン・パトウの香水とともに、花の香りのする四月のさわやかな風が室内に流れこんできたようである。
「遅れたかしら」
「九時、ちょうどだよ」
「ああ、よかった」
 夏子は愛くるしい瞳で軽くウインクしてみせ、後ろ手でドアを閉め、伸びあがってキスを求めてきた。
 津村は肩に腕を回した。二人の身体からだが唇を中心に、揺れるように一つに重なりあった。
 夏子は甘いため息を洩らして、柔らかく舌をからませてくる。
 夏子の弾んだふとももの感触が、津村の脚を押していた。キスの合間に、喘ぎが洩れ、夏子の肌は、期待にかられてひどく敏感になっているようだった。津村が両腕で抱きよせて腰をつよく密着させると、夏子は白い首をのけぞらせ、
「ああん……感じる」
 優しくして、と訴えた。
「今夜はめす猫狩りじゃないんでしょ。恋人に対してはもう少し優しく、礼儀正しく、ふるまうものよ」
 津村達也は、デパートの社員である。新宿に本店をもつ大手北急デパートの信販部調査課に籍を置いている。日本にもアメリカなみのキャッシュレス時代が到来し、銀行、信販会社、デパートなど物流各社が軒なみ、カード客獲得合戦を展開しているが、それに伴って激増するクレジットカードの事故や犯罪に対処し、こげつき金の回収などにあたる統括部署である。
 いま、腕の中に抱いている北沢夏子は、同じ社内ではなかった。コンピュータのプログラマーである。だが、そんな硬さや頭のよさを夏子は、みじんもみせない。何しろ彼女は日本カード・リサーチ・システムズ社という大手民間調査機関の花形プログラマーである。
 会うたびに新鮮な女。めったにあるものではない。北沢夏子は、津村にとって目下、仕事がらみでつきあっている最高の恋人の一人であった。
 たっぷりキスを交わした後、津村は腕をほどいた。
「湯は張っておいたよ。いい湯かげんだ。シャワーでも浴びてくるかい?」
「喉がからから。まずおビールを一杯飲ませて」
 グラスに一杯、飲み干してから、夏子はクロゼットからハンガーを取りだし、浴室に歩いた。
「おいおい、服はここで脱いでくれよ。しばらくぶりじゃないか。きみの素晴らしい裸をみたいんだ」
「あら、ここで?」
 夏子がふりかえった。
「女を裸にして値踏みするなんて、悪趣味よ」
 軽く睨み、それでも夏子は悪びれずに、浴室の入り口で服を脱ぎはじめた。
 北沢夏子の身長は一六二。B八六。W五八。H九〇――ヌードグラビアふうに表現すると、そうなる。
 なかなかえのする肢体だ。夏子は手際よくミラ・ショーンのスーツを脱ぐと肌色のスリップもとった。かがんで足の先からパンティーをとりはずす時、尻がつきだし、その谷間にはさまれるように黒い茂みと彼女の欲望の器官がちらりとのぞいた。
 虹色のそこはかすかにうるんで汗にぬれ、蜜をたたえたように輝いていた。
 津村はいきなり歩みよって、そこに一気に自分自身を突きたてたい衝動に駆られたが、それを我慢する。
「ありがとう。ますます期待が高まったよ」
「うまいことを言って――」
 夏子はうれしそうに笑い、見栄えのする尻をうねらせて浴室にはいった。
 津村はグラスを手にして窓際に立った。
 そこはラブホテルではなかった。新宿西口の超高層ホテルの三十一階である。
 右手の新宿御苑のあたりは暗い。だが、眼下の街はダイヤを撒いたように光の密度が濃い。夜景に顔を晒した津村達也の横顔に、心なしか憂愁が滲んだ。
 津村は三十二歳だ。ある事情から、独身である。正面からみるとりょうが高く、まゆの迫った端正な顔立ちである。その冷ややかな個性と翳りをもつ男臭さは、時に女性の心を微妙に刺激し、上手に惹きつけるらしく、そこを見込まれて今の仕事に放りこまれた。
 なにしろカード産業、年商二十二兆円。「信用消費事業」と総称されるカード業界全体では、そうなる。
 カード一枚で自動車や家具やファッション、住宅まで購入できる時代だ。デートも、食事も、海外旅行も、すべてカード一枚でことたりるとあって、いまやミドル社会の欲望の肥大化とともに、このプラスチックマネーをめぐるトラブルが、激増しており、なかでも女性が絡む事件が多い。
 カードの盗難。紛失。過剰購入。焦げつき。果ては二重債務やサラ金地獄へと事故はふえるばかりだ。それを調べる津村は、身体の休まる暇がなかった。だが今夜は……と浴室の方をうかがった津村の前に、胸にバスタオルを巻いてさわやかな顔をした夏子が現われた。
「お待ちどおさま」
 夏子の二つの胸のふくらみが、タオルに圧迫されて苦しそうに並び、深い谷間を作っている。そのまま津村の膝の上に腰をおろし、夏子はくちづけにきた。
 津村は重ねた。二つの舌がゆるやかに舞い、跳ねた。甘いため息を洩らし、夏子が探しものでもするように手を津村の股間に、そっとさしのばしてくる。
「素敵。みなぎってる」
「ねえ。ほしい」
 津村はベッドの端に腰をおろしたまま、夏子を横抱きにした。指先で彼女のバスタオルの胸をはだけた。湯上がりの匂いをまいてそよぎかかってきた夏子の白い胸に、かげが揺れた。
 薄明かりの中で、乳房が鮮やかな盛りあがりをみせていた。津村はふくらみを手でなぞった。裾野から上にむけて押しあげる。値踏みする感じの手つきだった。
 津村は、その乳房にも高い値をつけた。夏子は揉まれるうち膝の上で身体を斜めに傾けてきて、そのままベッドに倒れこんできた。仰むけに横たわっても、夏子の乳房はすそくずれせず迫力のある標高を保っている。
 膨らみの稜線にそって指をすべらせる。掌で淡紅色に染まったつぼみのような乳房を揉むと、それだけで乳房全体が重々しく震えた。
 津村は二本の指の先で乳首をつまんだ。弾くと音がしそうに、そこは固く尖ってきた。津村はそれを指の間に挟んだ。軽く持ちあげた。夏子は小さな声を洩らした。顔がのけぞった。津村はその乳首をこんどは唇でそっとふくみ、軽く舌で刺しながら、転がした。
 夏子は呻くような声を洩らしていた。喜悦の声だった。津村は夏子の腕を高く頭のほうにあげさせた。えきが大きくひらいた。剃ってはいない艶やかな房々とした毛が覗いた。津村はそういう部分にひどくそそられる癖があるのだ。
 そこに舌を這わせた。香ばしい香りがした。手は腹部から腰、そしていんのふくらみへと這わせてゆく。
「変なひと。わきの下の毛を剃らせないなんて」
 夏子が喘ぎながら、うわずった声をあげた。
「みんな除毛剤をつけてつるつるさせる今の流行は間違っているよ。女体の窪みは本来、房々とした美しい毛で飾るべきなんだ。腋の下も、こっちも」
 すっと、夏子の陰阜のヘアをこすった。軽くこすっただけだ。津村の手は、女のもっとも女たる場所をとびこえて、太腿へ移る。
 一番の愉しみは先にのばす。それが、主義だ。女への効果も、その方が高いことを経験が教えていた。
 夏子の太腿は弾むように引き締っていた。内股は温かく、かすかに湿っていた。津村は内股から膝に手をまわし、膝の裏を静かに撫でた。夏子が小さく腰をゆすった。津村の手は夏子の足を引き寄せ、足の指を手の中に丸め、握りしめた。
 揉みほぐす。くすぐったい、と夏子が訴え、耐えかねたように身をよじった。
「ねえ、触っていい?」
 夏子はみなぎったものを握りしめた。腰が大きく浮いた。津村自身に顔を近づけ、唇に含んだ。含み、先端を舌で舐め、それから深く頬張った。夏子の舌使いは絶妙だった。含んだまま頭を上下に動かす。顔を伏せかげんにしているので、髪が垂れ、津村は満足してそれを撫でてやった。
「うまくなったね。夏子」
 夏子の尻が揺れていた。
 眼の前にある。いまや津村の胸をまたぐようにして夏子は男性自身を唇に含んでいるので、後ろむきに臀部を、男の前にさらけだしていることになる。
 白い豊かなふくらみ。双丘のあわせ目に、濡れて輝くルビーの沼がある。津村は手をのばし、臀部を愛撫しながら、指をルビーの沼のほとりにすすめる。
 秘唇のあわせ目にきた。熱いうるみが、指に伝わった。唇を分けた。指をぬかるみの中にさし入れた。
 ああッと夏子が喘ぎ、腹部を波うたせた。少しはいったところで、指が強く掴まれる感触が訪れた。ひくひくっとそこが締まるたびに、夏子は崩れそうになり、
「ああッ……感じる」
 と、息の詰まったような声をあげた。熱いうるみがひっきりなしに指に伝わり、締めつける。感度もいい、気立ても、頭もいい。セックスパートナーとしては最高だ、と津村は思う。


 
 
 
 
〜〜『飾り窓は獲物の匂い』(南里征典)〜〜
 
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