官能小説販売サイト 一条きらら 『魔性の妻たち』
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一条きらら   魔性の妻たち

目 次
第1章 花芯を奏でる指先
第2章 舌戯のあとの甘美な悦楽
第3章 フェチストのアヌス攻め
第4章 産婦人科医の歪んだ性癖
第5章 舌戯にしたたる熟女の蜜液
第6章 セーラー服パラノイア
第7章 男装の麗人とのレズ愛戯
第8章 パンティマニアの下着恥戯
第9章 花芯がわななく禁断の桃源境
第10章 禁じられた挿入口の歓喜

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   第1章 花芯を奏でる指先

     1

 英子はベランダに出て、洗濯物を取り込んでいた。春の陽射しが暖かい。
 部屋に入って、洗い上げた衣類を畳みながら、時計を見た。
 午後二時半である。そろそろ幼稚園に千恵を迎えに行く時間だった。
 電話が鳴った。英子は立ち上がって、部屋の隅の受話器を取った。
「はい、池田です」
「もしもし、あたくし」
「はい……」
 英子は急に声をひそめた。誰かに聞かれまいとするように。
「今夜、お願いできるかしら」
「はい」
「八時に、新宿のPホテルのコーヒーラウンジで。相手の方は矢代さん。年齢は四十歳。中肉中背でメガネをかけていて、グレーのスーツを着ているそうよ。ネクタイは紺色」
「わかりましたわ」
「じゃ、よろしくね」
 藤原志乃はかすかな含み笑いを残して電話を切った。英子は受話器を置いて、時計に視線を投げ、千恵を迎えに行くためにマンションを出た。
「奥さん」
 後ろから声をかけられて、英子は振り向いた。同じマンションに住む相川文恵である。文恵も幼稚園に子供を迎えに行くところだった。
 二人は並んで歩きながら、子供の話をした。
「ところで奥さん、今夜出られない?」
 と文恵が言った。英子はあわてて、
「今夜はちょっとだめなの。主人がお客を連れて来るから」
「そう、残念ね。あのね、南口にスナックが開店したのよ。すてきなお店よ。今夜、山本さんと沢木さんと行ってみるのよ。よかったらご一緒に、って思ったんだけど」
「今度誘っていただくわ」
「ええ、そうね。ところで、奥さん……」
 文恵はちょっと言いにくそうにして、
「五千円貨してもらえないかしら」
 と英子の顔を見ないで言った。
「ええ、いいわ」
「ほんと? 助かるわ。実は今夜の軍資金がなくて。このあいだお借りしたお金と合わせて八千円、必ず月末には返すわ」
 英子は内心うんざりしていた。いつごろからか、文恵はたびたび英子に借金をした。決して多額ではなく、三千円とか五千円なのだった。
 一万円以内の金額なので、断りにくい。文恵は幼稚園の父母会代表委員にもなっているし、マンション内の主婦の中で勢力があった。断れば冷たい仕打ちをされかねない。
 本当は、人にお金を貸すどころではないのだ。二年前、現在住んでいる分譲マンションを無理して買った。ローンの支払いが月々十八万円。
 夫の給料は上がらないし、娘が小さいので英子はパートにも出られず、生活費を切りつめてもたかがしれていた。それで、英子は秘密のアルバイトをしていた。
 週に一度か二度、電話をかけて来る藤原志乃は秘密クラブ《夕顔》のマダムだった。英子がそのクラブを知ったのは、誰かに紹介されてではなかった。
 半年前のある日、英子はデパートに行って日用品を買った後、アクセサリーショップのフロアでウィンドウを覗いていた。ルビーやエメラルドの指輪、パールのネックレスやイヤリング。どの宝石も燦然と輝いて英子の心を魅了した。
 小さな石のついたファッションリングなら手が届く値段だった。店員が数個のルビーのファッションリングをケースから出してすすめた。指にはめてみると、胸のときめく心地になった。
(どうしようかしら)
 英子は迷った。それを買ってしまえば、今月の生活費がきつくなる。ローンのことも頭の隅にあった。
「今度にするわ」
 英子は店員に言って、惜しそうにその指輪をはずした。
 アクセサリーショップを離れ、デパートの出口に向かった時である。見知らぬ中年女に声をかけられた。女は四十歳前後だろうか。色白で、太り気味で、気品のある容貌をしていた。服装も華美である。
「ちょっと、あなたとお話したいの。コーヒーでも飲みながらいかが?」
 にこやかな微笑を浮かべて言う女に、英子はかすかに警戒心を抱きながらも、良家の人妻であり有閑マダム風のその女性に、謎のような魅力と好奇心を感じた。
 その女が藤原志乃だった。英子は彼女の口から秘密クラブ《夕顔》の存在を知ったのだった。
 英子と文恵は間もなく幼稚園に着いた。
 庭に園児たちが並んで、保母の話を聞いている。
 母親たちは互いに挨拶を交わし、雑談に興じていた。皆、三十歳の英子とほぼ同年齢だが、化粧や髪型、衣服はさまざまである。
 赤いブラウスにベージュのミニスカートの若作りの母親。
 昼間だというのにアイシャドウやマスカラを濃く塗った厚化粧の母親。
 カーリーヘアーにした髪のところどころに小さなリボンをつけている、蓮っ葉な女に見えるような母親もいる。
 英子はさりげなく彼女たちを見回して、
(私が秘密のバイトをしているなんて、誰一人知らないんだわ)
 胸の中でそう呟き、けれども、
(もしかしたらこの中にも、私と同じようなことをしている女がいるかもしれない)
 と、そんな気もしてくるのだった。
 
 
 
 
〜〜『魔性の妻たち』(一条きらら)〜〜
 
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